「もう1つは、必ずやるんだというモチベーションをキープし続けたことです。そのために、毎日、目標を意識するように仕向けたんです」
この2つを可能にする道具となったのが、手帳でした。目標の達成度合いを把握して、その時々の気持ちを書いて、毎日、自分を奮い立たせたといいます。
「いつか夢をでは、永遠に現実にはなりません。第1歩を踏み出し、設計に沿って歩んでいかないとダメ。脳や心は保管装置にすぎません。人間はすぐに忘れてしまう動物なんです。だから可視化が意味を持つ。手帳は重要なツールなんです」
そして何はともあれ、目標にはバランスが必要だといわれています。例えば、お金を稼ぎたいとする。そうなると、達成しなければいけないことは、仕事でうまくいくことだけではありません。例えば、健康もそのひとつ。熊谷さんは、夢を6つの分野に振り分けていました。
「健康、教養・知識、心・精神の『基礎レベル』、社会・仕事、プライベート・家庭の『実現レベル』、経済・モノ・お金の『結果レベル』です」
私がインタビューした2006年当時、すでに大きな成功を手にしていましたが、ご本人は「達成した目標はまだ一部に過ぎない」と語っていました。「残る多くの目標は、生涯をかけて成し遂げていきたい」とも。
「僕は、会社をおこす前から上場させたいと言っていました。そう言うと『そんなことができるわけがない』と思う人もいます。でも、本当にそうでしょうか。無理だとあきらめてしまえば、それでおしまいです。しかし、どうすればできるのかを僕は真剣に考えてみた。そして、実際にできたんです」
すべての責任は自分にあると認識
たくさんのビジネスパーソンに接してきて、成果を出せる人と出せない人は何が違うのか。インタビューではそんな質問もしてみました。
「まず、どんな基準で仕事を選んでいるかでしょうね。報酬、地域、成り行き……。こんな理由なら、その時点でもう結果は出せないと思います。重要なことは、人生はどうありたいかです。そこから逆算をして仕事に落とし込んでいく必要がある」