子どもの生活に過剰介入する「ヘリコプターペアレント」の危険性

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セラピーに訪れる多くの人たちが、親は子どもたちの生活にどこまで関与するべきか、どうなると境界線を超えてしまうのかなどで悩んでいる。その人たちはこんな質問をする。

・私の両親はいつも人一倍努力して介入してきました。どうすれば傷つけずに断れるでしょうか?
・私は両親の甘やかしと生活への過剰な介入にいつも反発してきましたが、今は自分の子どもたちの生活に十分関わっていないのではないかと不安に感じています。どうすれば両親のようにならないですむでしょうか
・私は子どもに最善を尽くしたいのですが、近づけば近づくほど、娘は遠ざかっていきます。私は間違ったことをしているのでしょうか?

「ヘリコプターペアレンティング」とは、過保護な育児状況の1つで、親が子どもの行動を終始監視して過剰なレベルの援助をする、まるでヘリコプターがいつでも急降下して救助するためにホバリングしているような状態のことで、「ヘリコプターペアレント」とはそのような親のことを指す。

一般的に、ヘリコプターペアレントの背景にある意図は好ましもので子どもの安全を守り、成功を支援することだが、現実にはメリット以上にデメリットがある場合が多い。複数の研究結によると、ヘリコプターペアレントは不安や鬱を抱えていたり自己肯定感の低い子どもを持つ親に多い傾向がある。

ヘリコプターペアレントが子どもの生活に過剰介入するときによく見られる行動傾向を2つ挙げる。

#1. ホバリング


概してヘリコプターペアレントは、テキストメッセージや電話、SNSなどを通じて子どもと密に連絡を取ろうとする。子どもが学校や大学に行っているときでさえ、頻繁に連絡を要求することもある。

子どもの行方を常に把握しておくことは役に立つ場合もあるが、通常は子どもが必要としたときに親に救いを求めさせるほうが望ましい。

Journal of Psychosocial Nursing and Mental Health Servicesに掲載された研究によると、子どもの状態を常に監視することで親は心配から逃れられるかもしれないが、同時に子どもの独立心と自己効力感を削ぎ落としている可能性がある。自己効力感の低下は、より大きくて複雑な問題、たとえば自尊心に関わる問題や不安障害、鬱病などに発展する恐れがある。

同研究は、ヘリコプターペアレントを持つ子どもが仲間から疎外される危険も指摘している。そういう親は、子どもが一定の時間帯に外へ出ることや、親が危険だとみなしている活動への参加を許さないことがあり、結果的に子どもの社会化を阻害する。そういう子どもは5分ごとにチェックされる面倒を避けるために、あらかじめ自らを孤立させようとする場合もある。
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翻訳=高橋信夫

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