結果、オーナー側もアーティスト側も歓迎すべき事になる。アーティストが一人前と認められるまでには、先ず学芸員に認められ、次に著名なギャラリーで個展を開くといった段階を踏んで通常5年から10年かかる時間軸を有する。しかし、沢山の人がオーナーになる分散型によって、アーティストが認知されるスピード感が格段に早くなるという仕組みが生まれた。
すると、本物のアートを買いたい層から、「インフルエンサーがこの作品を持っているから自分も買おう」といった新規層まで、実に多くのアート市場客を取り込めるという流れ。「『僕は、100円でバンクシーのオーナーになったよ』というツイートを見た時は、本当に嬉しかったですね」と長崎。これまでギャラリーに足を運ばない層も、オンラインなら気軽に覗いてもらえる結果として、新しい客層が出現し始めている。
メジャー作品から青田買いまで。今後はアート体験で付加価値を享受!
気になるセキュリティ面について。実物のアート作品は、都内の寺田倉庫や美術館で保管し、デジタル作品は、ストレイム・ウォレットという会社独自の倉庫に入れた後、敢えてオンラインではないコールド・ウォレットに保有する厳重な二重システムを採用している。
長崎は、「現状、バンクシーやアンディ・ウォーホルが人気ですが、これからスーパースターになり得る若手アーティストも積極的に発掘しています。今後は、面白いアート体験をNFTとした販売を予定しているのでお楽しみに!」と、体験型への活動も意欲的だ。
これらの若手アーティスト発掘などを手掛けているのが、「STRAYM(ストレイム)」取締役キュレーターのヒロ杉山。アーティストとして第一線で活躍しつつ、世界中のアーティストとも親交が深く、京都芸術大学客員教授として教鞭をふるう人物。そんな現代アート界のスターとタッグを組んだ事で素敵な化学反応を起こし、功を成している。
アートの世界で「批評の民主化」が始動
「STRAYM(ストレイム)」の売買方法は、2つある。「現在価格での購入」と「希望価格での注文」。前者は、今すぐ時価で買いたい人向け。後者は、値段重視で自動的に売買が成立するメリットがある。
山崎は、「弊社のリリースにより、アートとの付き合い方を自分自身で自由に構築出来るプラットフォームが確立出来ました。『美術館に展示されているアート作品のオーナーになれる』『絵が描けなくてもアートとしての提供OK』『100円でアート作品のオーナーになれる社会』など、可能性は無限に広がりました。これまで、大御所の学芸員の批評がアーティストの価値を左右していた時代から、批評の民主化を生み出したように実感しています」と分析している。
リアルタイムでアートを可視化する、WinWinの可能性
「STRAYM(ストレイム)」は、コンセプトに「Exchange the Value & Values」を掲げている。資産がある人も資産がない人も参入出来るシステムをフックに、経済的な価値観と、アートを精神的な充足感として得られる体験型・付加価値を売りにした今後の展開にも注目したい。具体的には、推しのアーティストに自画像を描いてもらったり、リゾート地でアートと触れたりなど「STRAYM(ストレイム)」がプロデュースするアート体験となる。
「先ずは日本市場の拡大に尽力しています。それが安定したら、次は、英語対応を行なってグローバルマーケットへと移行していきたいと考えています」と世界を見据えた長崎が語るアートの未来像には、「地球上のアートを皆で支える」という創業陣達が掲げた熱いミッションが脈々と流れている。