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2022.12.11 11:30

整形以上の効果? 「異日常」を演出する「髪」の可能性

一橋ビジネススクール 楠木建教授

一橋ビジネススクール 楠木建教授

今年3月、アカデミー賞授賞式でウィル・スミスが脱毛症を公表している妻をからかうような発言をしたプレゼンターを平手打ちした出来事は、衝撃的なニュースとして全世界を駆け巡った。
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一方、日本パブリックリレーションズ研究所が2万人に行ったアンケートによると、約4割の人が薄毛で悩み、そのうち約4割が「ハゲ」という言葉を投げかけられるなどの直接被害を受けているという。

その言葉を気に病む人がウィッグを被ると、今度は「ズラ」と言われ、からかわれてしまう。そんな救いようがない状況に陥るケースが明らかになっている。多様化を迎えたこの時代、「薄毛問題」と「毛髪ビジネス」をポジティブに考えるForbes JAPAN執行役員 Web編集長の谷本有香が、アデランス代表取締役グループCEO 津村佳宏社長と一橋ビジネススクール 楠木建教授に斬り込んだ。


隠す「かつら」から、心をケアする「ウィッグ」へ


谷本:毛髪関連事業のリーディングカンパニーとして、毛髪業界を牽引する、御社の変遷をお聞かせください。
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津村:当社は男性用オーダーメイド・ウィッグの会社として1968年に創業しました。当時は、男性の薄毛に対する解決策はほとんどありませんでした。テレビCMを打ったところ「パパ、アデランスにしてよかったね」というインパクトあるコピーが多くの方に共感を呼び、47都道府県に店舗を構えるまで拡大しました。

その後、円形脱毛症や白血病や先天性の無毛症など、病気や怪我でウィッグを必要とする方々からの相談が寄せられて、「お子さまの髪の悩みを心の傷にしてはいけない」と考え、1978年からチャリティー活動に取り組み、現在も年間約300人の子供達に無償でウィッグを提供しています。

最近では、NPO法人JHD&C(ジャーダック)と連携して、ヘアドネーションのウィッグ製作の協力をしています。しかし、一部のタレントの方が「ハゲ」「ズラ」と笑いのネタにしたことで、「かつら」という言葉が、すっかりネガティブに捉えられ、「髪ハラスメント」問題として心を痛めてきたのも事実です。


(アデランス代表取締役グループCEO 津村佳宏社長)

谷本:ウィル・スミスさんの出来事がきっかけとなって「髪ハラ」問題が世界的にクローズアップされましたが、楠木先生とウィッグとの関わりは?

楠木:私自身、30代前半から髪がなかったのですが、何とも思っていません。いまは丸刈りにしていますが、毛髪問題は、本人の受け止め方次第なのかな、と思います。
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インタビュアー=谷本有香 文=中村麻美

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