大須ういろでは、形のよいういろを作るうえで、どうしても出てしまう切り端を捨てるのが「もったいない」と考えていました。また製造途中に形が崩れてしまったういろも、商品としては販売できずに廃棄されています。大須ういろは会社全体でSDGsを目指していることから、このフードロス問題に立ち向かうことにしたのです。
そのとき、循環型社会を目指して不用紙の再生などを行う大阪の製紙会社、山陽製紙から「ういろで紙を作りませんか」と声をかけられました。これまで山陽製紙は、リンゴやミカンやコーヒーなどから紙を作ったことがありましたが、ういろは初めてでした。粘り気のあるういろからうまく紙が作れるのか不安でしたが、ういろを再生紙と混合し、水で洗ってシート状に伸ばして乾燥させることで「ういろペーパー」を完成させました。きなり色で透け感があり、そこに小豆や栗などの具材が粒子となって混じっています。和紙よりも洋紙に近い質感とのこと。
大須ういろは、廃棄されるういろを「工場直販のお得な商品」として販売することも考えましたが、形のよさも商品として重要だというこだわりがありました。そこで、紙に生まれ変わらせることを選択したのです。「ういろペーパー」は、大須ういろの定番商品「棒ういろ」2本入りと3本入りの箱として利用されるほか、今後は掛け紙などに利用していくとのことです。