経済・社会

2022.11.27 17:00

国内外の世論を「見くびる」イランの人権問題、国連が調査へ

ロンドンでのデモで掲げられるマフサ・アミニの写真(2022年11月19日)(Photo by Rasid Necati Aslim/Anadolu Agency via Getty Images)

国連人権理事会は11月24日、悪化するイランの人権状況について協議するために開いた特別会合で、独立調査団の設置を決めた。

イランでは9月、「女性は外出時には髪を覆う」と定めた服装規定に違反したとして22歳のマフサ・アミニが首都テヘランで逮捕され、数日後に死亡。それを受けて発生した抗議デモが、全土に拡大した。抗議活動はいまも続いており、当局による取り締まりは厳しさを増している。

アミニは逮捕時、ひどい暴力を受けていたと報じられている。イランの人々は当局に対し、彼女の死についての説明責任を果たすこと、女性への暴力や差別をなくすこと、そして女性にヒジャブの着用を強制するのをやめることを求めている。

だが、当初は平和的に行われていた抗議活動に対し、当局は過度の武力で対応。暴力的な弾圧は、11月中旬以降、劇的にエスカレートしているという。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチによると、22日現在、これまでに報告された434人(うち60人は子ども)の死について、複数の人権活動団体が調査を進めている。

当局者による性的暴力も


こうしたなかで指摘されているのが、デモに参加した女性や少女たちに対する性的な暴力だ。BBCは10月14日、治安部隊の隊員らが女性のデモ参加者を逮捕する際に性的暴行を加え、その様子が映像に捉えられていたと報じた。

同月26日には国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が、「恣意的な逮捕や拘束、ジェンダーに基づく暴力、性的暴力、過度の武力の行使、拷問、強制失踪(当局による拉致と所在の隠蔽)」の疑いがあるとして、治安部隊による取り締まりを非難。

11月21日にはCNNが、デモ参加者らに対する性的暴力について、報告されている被害の事実を裏付ける情報を得たとして、「レイプの被害者のなかには、重傷を負った人も、少年もいる」と伝えた。

被害者から直接話を聞いたという複数の人がCNNに対し、「性的暴力を受ける様子が撮影され、その映像をもとに、抗議活動に参加しないよう脅されている」と証言している。
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編集=木内涼子

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