とはいえ、テック企業の低迷は、ナスダックに上場している企業に限ったことではなく、中国の巨大テック企業も同様に時価総額が急減している。ただし、下落が始まったのはもっと前からだった。
中国政府は2021年、テック企業に対する規制を導入した。同業界に、セキュリティとイデオロギーを巡る懸念を見てのことだった。その後、インフレと世界的なエネルギー危機が市場に悪影響を与えるなか、中国政府によるテック企業規制が与えた影響はさらに悪化している。
アリババグループの決済サービスAlipayは、無担保ローンを大量に貸し出しているとして政府から厳しい目を向けられ、事業の再構築を迫られた。一方、ゲームを開発するテンセントやバイドゥ(百度)は、西側諸国や韓国、日本のビデオゲームを真似たりせず、国家のイデオロギーと歩調を合わせるよう政府から忠告を受けたと、CNBCは報じている。
また、未成年者のゲーム依存症も問題視された。中国では以前から、未成年者のオンラインゲームのプレイ時間が制限されていたが、昨年8月30日にはさらに厳格化された(金土日、祝日の午後8時から午後9時に制限)。
監視の目が厳しくなった結果、中国のテック最大手のなかには、2021年はじめ以降、時価総額に深刻な打撃を受けているところもある。アリババの時価総額は、2021年1月時点からおよそ70%減少した。同社の共同創業者ジャック・マーは、2021年に始まった締め付けの矢面に立たされ、以降は鳴りを潜めている。それでも、電子商取引と金融サービスを提供するアリババの現在の時価総額は2100億ドルと、中国のテック企業ではテンセントに次ぐ第2位だ。
オンライン検索と人工知能(AI)企業のバイドゥも損失が膨らみ、2年近く前と比べると、時価総額はおよそ60%も減少している。バイドゥは、時価総額という点では、中国では比較的少なめの企業に数えられており、現在の時価総額は330億ドル弱だ。
オンラインショッピングのプラットフォームを運営するピンドゥオドゥオ(拼多多)と、デジタル大手テンセントもそれぞれ、時価総額が半分以下になった。テンセントは時価総額が3700億ドル超と、中国テック最大手の地位を維持している。