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2022.11.27 11:00

茶道、禅、ウェルビーイング 向き合うべき「本質」とは

Getty Images

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ウェルビーイングに近い言葉として語られるマインドフルネスは、日本の「禅」に似ていると言われることも多い。不安や雑念で「心ここにあらず」の状態から、「今」に意識を集中することで精神を鎮め、心身のコンディションを整える。それによりパフォーマンスアップも期待できると、グーグルなどが取り入れていることはよく知られている。
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では、日本人であれば、禅への理解やその実践をしてみることが、ウェルビーイングへの近道となるのだろか。

東京ミッドタウンで開催された「Wellbeing Lab 2022」(9月17日〜25日)のトークセッションで、Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022に選出された起業家、TeaRoom代表の岩本涼とForbes JAPAN Web編集長の谷本有香が対談。

禅とも関わりの深い茶道を9歳から始め、「裏千家 茶道家 岩本宗涼」の名も持つ岩本に、日本らしいウェルビーイングのあり方を聞いた。
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谷本:岩本さんは大学在学中に起業され、お茶を通じて産業と文化をつなげる事業を展開されています。なぜ若いうちから、自分のやりたいことを見つけることができたのでしょうか。

岩本:私は自分の意思決定において、「できることと社会から期待されることの中間がやりたいことになるのではないか」という仮説のもとに生きてきました。自分のできることは、幼少期からお茶に触れて、その価値を理解できていたところ。そして、社会から期待されることは、茶道の復興になります。

できることと期待されることを、自分のできる最大値でこなしていくと、自分のなかで納得感が高まると同時に社会からの期待も大きくなり、やがて自分のやりたいことになりました。



谷本:お茶は本当に奥深い世界ですが、岩本さんはどのように捉えていますか。

岩本:私はなかなか居場所がない幼少期を送っていましたが、茶室を訪れれば、目の前の人に対して一生懸命にお茶を点てることができました。友達関係や学校で嫌なことがあっても、茶室だけは唯一、人間として肯定してくれる空間でした。

谷本:私は世界各国のリーダーを取材しますが、彼らの多くは、「日本を訪れたら、茶室に行きたい」と口にします。先の見通せないない時代において、ロジックではないところで自分なりの解を見つけたい、自分自身と向き合う場を作りたいという思いがあるのかもしれません。

岩本:茶室は日本の本質が詰まっている場所です。そして、“向き合う”という特徴があります。自己との向き合いは内省で、他者との向き合いは会話やコミュニケーション、そして特定多数との向き合いは茶会。モノとの向き合いにも、見立てという言葉があります。茶室は構造的に人々が向き合う空間を作り出しています。

今は、仕組みを作り上げれば稼げる時代とも言えます。SNSでバズらせ、一定のフォロワーを獲得、送客することで、マネタイズができます。私はZ世代と呼ばれる世代ですが、こうした仕組みで大金を稼いでいる友人も多くいます。

岩本:しかし一方で、彼らは“すがる価値観”がないとも口にします。起業して会社を経営している仲間からも、どれほど成長すればいいのか、どれくらいの経済インパクトを生み出せばいいのかという悩みをよく聞くため、価値観が存在しない時代だと感じています。

ただ、すがる価値観がないからこそ、一度いにしえに立ち返って自分に合う価値観を探るために、茶道は適しているのかもしれません。

谷本:自分にとって心地よい価値観というのは、テーマであるウェルビーイングにも関係する気がします。岩本さんの考えるウェルビーイングについて聞かせてください。
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