トロントに本拠を置くWaabiは、 2021年6月に8350万ドル(約118億円)を調達した。Waabiは、自社を第2世代の自動運転企業と位置付けており、アルファベットのウェイモ(Waymo)やゼネラルモーターズ傘下のクルーズ(Cruise)、アマゾン傘下のZooxなどの競合大手とは対照的なアプローチをとっている。
他社が現実世界で多くの車両やトラックを走らせ、街や通りごとの特徴を時間を掛けて学習してソフトウェアを改善させているのに対し、WaabiはCEOのウルタスンが開発した「ワビワールド」というシミュレーターを用いた仮想テストを行い、AI対応システムにほぼ無限の種類の道路状況を経験させている。
「我々はシミュレーター上で全てを行うことができるため、他社に比べて技術開発が格段に進んでいる」と彼女は話す。テスト用トラックが周囲を確認するために必要なカメラやLiDARなどのセンサーの配置も、路上で試行錯誤を行うのではなく、シミュレーターでの徹底的にテストを行い、最適化しているという。
ウルタスンは、特定の企業名を挙げることはしなかったが、次のように他社との違いを説明した。「業界では、まずハードウェアのプロトタイプを作り、それを扱うソフトウェアを作ることが一般的だが、我々の手法はそれとは対照的だ」
しかし、同社の将来については疑問もある。ウルタスンは、提携するトラックメーカーや運送会社の名称を公表しておらず、テストトラックが貨物輸送で収益を生むかといった点や、システムの商業化やライセンス供与の開始時期についても言及を避けた。彼女は、最初にトラックのテストを行う州やテスト車両の台数についても明らかにしなかったが、米国運輸省によると、現在サンフランシスコでWaabiが登録しているトラックは3台だという。