ビジネス

2022.11.24 08:30

仮想空間で自動運転テクノロジーを開発するカナダ企業Waabiの挑戦

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Waabiは将来の展望を楽観視しており、ウルタスンも2021年に調達した資金によって数年のランウェイ(資金が尽きるまでの期間)が確保できたと主張している。しかし、業界では自動運転車の収益化について、悲観的な意見が増えている。

10月には、フォードとフォルクスワーゲンが自動運転車開発の合弁会社であるアルゴAIの閉鎖を決定した。両社は、アルゴAIに30億ドル以上を出資しており、この決断に業界には衝撃が走った。

ロボットトラック開発の大手であるTuSimpleは、早ければ来年までにシステムの商業化を目指していたが、取締役会による経営陣の更迭や連邦政府による調査の可能性によって、先行きに暗雲が立ち込めている。ウェイモは、フェニックスでロボットタクシーのサービス内容を拡大し続けており、サンフランシスコとロサンゼルスでも営業を開始する計画だが、当初の楽観的な見通しに比べて進捗が遅れている。

100人の少数精鋭のスタッフで開発


トロント大学教授で、ウーバーの自動運転技術部門の元チーフサイエンティストであるウルタスンは、競合他社の経験から学んだことで、より迅速に行動できると主張する。彼女は、自動運転技術をスケールアップさせるためには、都市や環境を1つずつマスターするのではなく、シミュレーションを使って様々な条件に対応できるようシステムを学習させた後、個々の場所で実際にトラックを走行させて微調整することが最適だと考えている。

「自動運転に対するネガティブな心理は、前世代の企業に影響を与えている。技術が完成に至っていないことが明らかになっており、同じアプローチで解決するには非常に長い時間がかかるだろう。彼らのビジネスは資本集約的で、5億ドルや10億ドル、20億ドルという規模の資金を費やしている。今日のような経済や市場の環境において、事業を継続することは非常に困難だ」と彼女は言う。

ウェイモやクルーズ、そして最近閉鎖されたアルゴAIが数千人の従業員を抱えているのとは異なり、Waabiは約100人のスタッフで商業化を目指している。

「自動運転技術が世界にもたらす影響に対する期待は依然として大きいが、従来とは異なるアプローチが必要だという認識が広まりつつある」とウルタスンは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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