この混乱に対し、人々はすぐさま反発。ソーシャルメディア上では、同サイトで続いた障害や、需要に応じて価格を変動させる販売手法、チケット販売手数料、そしてチケットマスターによる音楽ライブ業界独占を非難する声が上がった。
チケット販売とイベント会場の市場の70%を握っているとされるチケットマスターに対しては、1990年代にもパール・ジャムがボイコット運動を展開して抵抗を試みたが、その牙城を崩すことはできなかった。だが、「スウィフティーズ」と呼ばれるスウィフトのファン層は、世界最大級の数と忠誠度を誇っており、チケットマスターに対抗する力を持つ可能性がある。
スウィフティーズは結束が固く、影響力も大きい。前回の全米ツアーでは、各地のスタジアムを次々と満員にし、米国のツアー興行収入記録を塗り替えた。また最近では、スウィフトの新作アルバム発表と同時に、音楽配信サービス大手のスポティファイのサービスがダウン。そうしたスウィフトファンの力が、チケットマスターの業界独占をついに破壊したとしてもおかしくはない。
米国ではこのところ、テック業界の独占禁止を目指す動きが勢いを得ている。またバイデン大統領は先月、航空会社や銀行、ケーブル会社、そしてチケット販売サイトなどの業界がさまざまな名目で消費者から徴収している「ジャンク手数料」に対する措置を講じると表明した。
20年近いキャリアを通じ、ジャンルをまたぐ人気楽曲を次々と送り出してきたスウィフトは、熱心なファンのおかげで記録破りの大スターへと成長した。最新アルバム『ミッドナイツ』の発売後には、ビルボード・ホット100のトップ10を独占するという前代未聞の快挙を達成。今回の「エラズ」ツアーでは、全米で計52公演を予定している。