防衛省などによれば、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのは34回目だ。11月だけで5回に上る。一方、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日の理事会で、北朝鮮・豊渓里の核実験場で依然、活動がみられると説明した。情報関係筋によれば、新たに掘削し始めた第4坑道付近の動きより、第2~6回の核実験で使われた第3坑道付近で補修とみられる動きが続いている。
一連の北朝鮮の動きは何を意味するのか。北朝鮮は本当に2017年9月以来になる7回目の核実験に踏み切るのか。
北朝鮮内部と連絡を取り合う元朝鮮労働党幹部によれば、現在のミサイル発射は、9月8日に北朝鮮の最高人民会議(国会)が採択した、核の使用に関する法令と関係があるという。法令は、核の使用条件や指揮統制、安全管理などを定めている。金正恩氏は、法令採択後、軍の最高司令官としての名前で「核ミサイルの発射を巡る、命令システムや安全性などを確認せよ」という内容の指令を下したという。当初は、11月半ばまでとされたが、最近、12月半ばまで「確認期間」が延長されたという。元幹部は「本来なら、一連のミサイル発射は終了していなければならなかったが、1カ月程度延長された」と語る。元幹部は、「延長」の意味について語らなかった。あるいは、知らされていないのかもしれない。
北朝鮮の行動の判断基準は、「最高指導者の利益になるかどうか」だ。軍事行動の場合、軍事技術の開発や部隊の錬成という要素に加え、他国の行動を抑止するという戦略、政治的な要素も入ってくる。ICBMや核兵器のように、戦争の局面を1発で変えてしまう戦略兵器ならなおさらだ。ただ、北朝鮮の場合、この「政治的要素」が含まれる割合が、他国よりも段違いに多い。
例えば、核実験をみた場合、インドやパキスタンは1998年5月、それぞれ5〜6回ずつ核実験を集中的に行い、その後は実験を行っていない。国際社会から必要以上に非難されないようにという配慮もあるが、一定水準に達すれば、後はコンピューターによるシミュレーションで十分だという判断がある。