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2022.11.24

コオロギをパウダー状にして抵抗感の少ない昆虫食を 長野のフードテックベンチャーが7000万円調達

Getty Images

世界で人口増加による食料危機が懸念されるなか、国連食糧農業機関(FAO)は2013年、解決策として昆虫食を推奨。中でも近年、栄養価が高く牛肉の約3倍のタンパク質を含むと言われるコオロギが、次世代のスーパーフードとして国内外で注目を集めている。

そんなコオロギの養殖や食品の製造・販売を手がける創業1年あまりのフードテックベンチャーが、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」と金融機関から7300万円の資金を調達した。長野県茅野市に本社を構えるCricket Farm(以下クリケットファーム)だ。

同社ではコオロギを食すことへの心理的抵抗を減らすため、生産したコオロギをパウダー状に加工。次世代の栄養素として国内外へ普及させることを目指す。

クリケットファームではコオロギパウダーを食材として飲食店や食品メーカーに販売するとともに、コオロギパウダーを使用した塩やプロテインパウダー、パウンドケーキ、クッキーなど、様々なオリジナル商品を製造・販売している。



今年8月に稼働開始した長野県茅野市の新工場では、独自のセンシング技術やロボットを用いたDX化で業務を効率化し、コオロギパウダー1キロあたり約5000円という低価格を実現している。



今後は、こうしたスマート養殖システムをパッケージ化し、国内企業へ業種横断的に提供。自社工場での実務研修や養殖場視察と設計へのアドバイス、繁殖の第1世代となるコオロギの成虫100匹と餌も提供し、生産パートナー制度導入によるマネタイズを行なっていく計画だ。さらに、食糧危機が深刻なアフリカなどの途上国へも同制度を展開し、自国で栄養豊富なコオロギを養殖できるように支援していくという。

コオロギパウダーについては今年2月、無印良品のヒット商品「コオロギせんべい」などの共同開発を手がける徳島大学発のスタートアップ、グリラスがBeyond Next Venturesなどから2億9000万円の資金を調達したことが話題を呼んだ。

やがてくる食糧危機に向けて、今後も食用コオロギの需要は増え続けていくことが予想される。クリケットファーム創業の地である長野県諏訪地域には、昆虫食の文化が根付く。同社ではそうした地元の食文化をアップデートしながら、これからも問題の解決に取り組んでいく。

文 = 大柏真佑実

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