バンクオブアメリカのジェイソン・クッファーバーグはコインベース株の評価を「FTXの破綻による影響」を考慮して「買い」から「中立」に下げ、目標株価を現状のわずか8%上の50ドルに設定した。前回の目標株価は77ドルだった。
「FTXの崩壊はコインベースに新たな逆風をもたらし、さらなる注意を要する」とクッファーバーグは指摘し、コインベースの今年の収益の約76%を占めた個人投資家の「暗号エコシステムへの信頼の低下」が懸念されると述べた。
彼は、競合の崩壊が最終的には、コインベースが長期的に市場シェアを獲得するのに役立つと述べたが、FTXの破綻から生じたマイナスの波及効果を懸念しており、一部のユーザーが暗号通貨に見切りをつけて、資産を売却し、他のユーザーは資産を取引所からコールドウォレットに移していると付け加えた。
一方、みずほ証券のアナリストのダン・ドレブは、直近の1日あたりの暗号通貨の取引量が年間平均から約35%減少していると述べ、「消費者の関心が減退しつつある」と指摘した。みずほは、コインベースの目標株価を、現状の株価(約45ドル)を約10%下回る42ドルとしている。
コインベースのCFOのアレシア・ハースは16日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事で、「FTXの破綻の影響は2008年の金融危機のようになりつつあり、不良債権処理やリスク管理の脆弱さを露呈している」と述べ、状況の把握には数週間がかかると指摘していた。
コインベースの株価は18日に5%下落したが、年初来では81%という大幅な下落で、ナスダックの30%のマイナスを大きく上回っている。
クッファーバーグは、FTXの破綻が、多くの人が業界に利益をもたらすと期待していた規制の進展を遅らせる可能性があると述べている。さらに、FTXのような事態の再発を防止する目的で、取引所に課される制限が、コスト高になる可能性が高いと指摘した。
今年は、世界的な景気後退と過去40年間で最悪のインフレへの懸念が暗号通貨市場に大打撃を与えている。この混乱で暗号通貨市場全体で2兆ドル近くの時価総額が失われたが、世界最大の取引所の1つであるFTXの突然の破綻で、状況はさらに悪化した。
暗号通貨のレンディング大手の「ジェネシス(Genesis)」は16日に引き出しを停止し、FTXの破綻が「異常な引き出しリクエスト」をもたらし、「前例のない市場の混乱」を引き起こしたと非難した。
(forbes.com 原文)