プライベートジェットでお金持ちは何を食べてるのか?

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残念ながら、レストラン「アンティーカ・ピッツェリア・ダ・ミケーレ」ではどんなときもデリバリーやテイクアウトは行っていない。注文して列に並び、その場で食べなければならないという人気の店だ。

「そんなほぼ不可能なタスクで、当社のプライベートダイニングのメンバーがダ・ミケーレのシェフの1人と同じ学校に通っていたことを思い出した。しばらく回想した後、7枚のピザを空港に届けることをなんとか交渉し、顧客に喜んでいただくことができた」

超富裕層向けに食事を提供することが多いVistaJetは、世界で最も人気のある100以上のプライベートシェフやミシュランの星を獲得したレストランと提携してレストランの料理やあつらえの季節のメニューを提供している。

VistaJetの会員向けサービス「プライベートワールド」のパートナーには松久信幸、ロンドンの「ホテル・カフェ・ロイヤル」にある自身の名を冠したレストランのミシュラン星付きシェフであるアレックス・ディリング、ジェノバの伝説的レストラン「ゼフィリーノ」、シンガポールのホテル「シャングリ・ラ」の「オリジングリル」などの名が挙がる。また世界のタージホテルとも提携しており、ロンドンのインド料理レストラン「キーロン」のミシュラン星つきシェフであるスリラムも含まれている。

これらのパートナーが選ばれた場合、料理は通常、シェフのレストランや自宅で準備される。部分的あるいは完全に調理され、すぐに冷まされて冷蔵車で空港に運ばれ、VistaJetのキャビンホスト(全員が英執事協会の訓練を受け、さまざまな料理の専門シェフから盛り付けの指導を受けた)が機内で準備する。

しかし、顧客がいつもミシュランの星を目当てにしているわけではない。

「97歳のすてきな顧客がいて、彼女は当社を利用するたびにティラミスをリクエストしていた。ある日、私は自分のティラミスのレシピをシェフに教えようと決心した。祖母から教わった作り方をもとに、順を追って教えた」とサビノは話した。

シェフは、その顧客が次のフライトで楽しめるように1人前を作っただけでなく、家に持ち帰れるように家族用の大きなサイズも作った。

「私は、これが私の家族のレシピであること、そして彼女にそれを提供できることに感謝していることを説明した小さなメモを書いた。食べるとすぐに、その顧客は私に電話しようとキャビンホストに携帯電話を貸してくれるよう頼んだ。彼女は泣いていた。そして、これまで人にしてもらったことで一番思いやりのあるもので、今まで食べたティラミスの中で一番おいしいと言われた。感激した」

そして、その顧客だけではない。VistaJetの会員の大半は、季節感を取り入れた健康的なメニューに満足しているとサビノはいう。同社のアボカドの入ったキヌアサラダは根強い人気があるそうだ。

いずれにせよ、ファーストフードでも高級料理でも、プライベートジェット利用者のほとんどは食体験をかなり楽しんでいる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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