25歳の若き茶道家が考える日本独自の「道」の本質

TeaRoom代表取締役で裏千家茶道家の岩本涼

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

10月31日配信は、TeaRoom代表取締役で裏千家茶道家の岩本涼がゲスト。裏千家での茶歴は16年を超え、岩本宗涼という茶名も持つ岩本は、いかにして茶道の道に踏み入ったのかなどを聞いた。



中道:今回はTeaRoom代表取締役、そして茶道家でもある岩本涼さんをお迎えしてお届けします。

岩本さんは1997年生まれで、幼少期より裏千家で茶道経験を積まれ、21歳でTeaRoomを創業。静岡県本山地域に日本茶工場を承継し、農地所有適格法人THE CRAFT FARMも設立しています。循環経済を意識した生産や日本茶の製法をもとにした商品の開発および販売、茶の湯関連の事業プロデュースなどお茶の需要創造を展開されています。

その上、この若さで、裏千家から「岩本宗涼」という茶名を拝命されています。シュウリュウという読みですか?

岩本:ソウリョウですね。

中道:ソウリョウ! 岩本宗涼として、"茶の湯の思想 × 日本茶産業"に対する独自の視点で活動されていらっしゃいます。まずはお茶の世界に入ったきっかけを聞かせてください。

岩本:実は実家が家元というわけでもなく、突然変異のように始めたキャリアになります。きっかけとしては、9歳の頃にテレビで茶人を拝見し、その姿に感動したことです。

中道:何かに心を動かされたんでしょうか?

岩本:テレビを見ていて、「カッコいい」という言葉を漏らしたとは、母親から聞きました。単純に容姿をはじめ、心から美しいと感じたところからスタートでした。

中道:なるほど。どのようなプロセスを経て、今に至ったのでしょうか?

岩本:私はお茶が好きで好きで仕方がなく、幼少期から英語を積極的に話そうという考えもあり、お茶について英語での発信することなどを思い描いていました。

それこそ裏千家は国際組織があり、世界中に支部が点在しています。実際に世界中の支部から外国人の方々が日本にいらっしゃる機会もあります。そのとき、自分で茶会を開いて通訳するなど、自分が好きなものを伝えたいという一心で活動を続けた結果、最年少で茶名をいただくことになりました。本当に好きが高じて、今に至っています。

中道: 97年生まれなら、まだ25歳ですよね。9歳からのめり込んだのですか。

岩本:そうですね。私はとにかく「型」が大好きで。実は5歳の頃からはじめた極真空手でも同じでした。

TeaRoom代表取締役で裏千家茶道家の岩本涼

子供の頃の私はとても弱くて、マンションの隣に住んでいた空手の先生に誘っていただいて空手をはじめ、学校には行けないけど空手には行くような少年でした。なかでも型が大好きで、母とスーパーでの買い物をする際、母の後を「正拳突き」をしながらついて回るほどハマっていたようです。

身体で型を作ると、思想が後から入ってくる実感も得られていました。同じように、お茶でも型を続けることによって、思想が入ってくるプロセスが楽しかったです。
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文=小谷紘友 編集=鈴木奈央

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