ボランティアにも当然ある「ルールとマナー」
さて、ここで参考までに、「福田会」の例が中心にはなるが、児童養護施設への差し入れについてのルールやマナー、好まれるものの傾向を記しておく。
1. 差し入れはつい、子供たちに直接手渡したくなるが、NGである。すべて施設の事務局職員へまとめて渡すのがルールだ。
2. 男の子向けのオモチャや女の子向けのぬいぐるみがよく郵送で一方的に寄贈されるそうだが、 職員が分配した後に児童の間で取り合いや諍いのもととなるため、あまり好まれない。
3. 映画やアニメのDVDは室内でよく鑑賞していて、見た後は他の部屋にも回せるので差し入れとして好まれる。また、職員が児童と一緒に遊べるスポーツ用品やボードゲームなども喜ばれる。
4. お菓子の場合は必ず「子どもの人数分以上」が必要(福田会であれば46人分以上(ちなみに福田会の場合、子ども達は6人ごとのユニットで共同生活している)。
進まない? 「里親委託」へのシフト
児童虐待、そして児童福祉をとりまく状況についても、この機会に少しだけ触れておきたい。
東京都内には60の児童養護施設があり、約3000人の児童が暮らす。全国では約600の施設に、約3万2000人の児童が暮らしている。しかも、児童相談所への虐待通告数は年々増加の一途を辿っているのが実情である。
そんななか、政府は「児童養護施設」から「里親委託」へと擁護環境をシフトする方針だ。
しかし、上の図のように、海外の先進諸国と比べると日本では里親委託が一向に進まず、 まだまだ民間の児童養護施設による養護に頼っているのが現実なのだ。
未来とその実現のため、一体何が?
「福田会」で草むしりをしながら、考えることがある。
海外では、ビル・ゲイツはじめ実業界での「成功者」やセレブリティと呼ばれる人々は、必ずといってよいほどボランティア活動をしている。なぜだろう?
それは、ときに世間には偽善行為に映ったとしても、おそらく彼らの中には変わらぬ何らかの信念があり、その活動を止めさせないからではないだろうか。自分なりに描いた社会の未来の実現のために、いま自分がどう貢献しているのかを、彼らはおそらくいつも意識しているのだ。そして彼らには、その意識を不断に持ち続けるためのある種「信念」があるに違いない。そして、そういう「信念」はとても強い。
私自身、ビジネスのシーンにおいても、信念がスキルや経歴、育った環境や学歴をも軽く凌駕するシーンにたびたび出会うことがある。
さて、よい未来の実現のため、一体自分は今日、どんな信念をもち、何をするのか?
──「福田会」への支援に関しても、またその他の施設へのサポートについても、1人1人の小さな力が積み重なってさらにアクションの輪が広がることを切に祈念する。
*なお「ボランティア部」は電通公認の部活動ではない。