日本におけるD2Cの歴史
僕は、今は「D2C 2.0」から「D2C 3.0」への移行の過渡期だと考えている。なぜ「D2Cオワコン論争」が噴出するかといえば、メーカーのマーケティング戦略が2.0時代のままアップデートされていないからだ。
〈D2Cの変遷〉
D2C 1.0
店舗or訪問販売(店舗:ユニクロ、ファンケルなど、訪問販売:ヤクルトなど)
D2C 2.0
ウェブ獲得単品リピート通販(サントリーウェルネス、山田養蜂場、北の達人など)
こう見てみると、いまだに強い「D2C 2.0」ブランドの多くは、Shopifyができる前から自社でシステムを構築して事業を営んでいたような、元祖オンライン通販会社が多いように思える。
では、なぜ新規の「D2C 2.0」への参入が厳しくなっているのか?一番大きな理由は、市場参加者が増えすぎて、ほぼ利益が残らない水準での過度な顧客獲得合戦が生じていることだ。
3年前に比べても、獲得コストは体感的に1.5倍〜2倍になっている。業界によっては10倍以上になっているケースもある。利益率が高い業界であったとしても、吐き出せる粗利の分だけ獲得コストを競合と高め合わなければならないので、結果として利益が残らない。
結局D2Cブームで最も得したのは誰かと問えば、赤字でもハイパーグロースを背景に上場し高値でExitした投資家か、加熱するD2Cブランドの広告費の20%を手数料として懐に入れた広告代理店のいずれかだ。そんなマーケットが、健全であるようには僕には思えない。
「友人のおすすめ」が再評価される時代に
消費者は、毎日見せられる広告に飽き飽きしている。消費者は既にそれが「誇大広告まがい」であることを知っているし、商品に然したる差別性がないことも見抜いている。であればこそ「D2C 3.0」はもうそこに来ているのだ。事業者サイドのマーケティングも変わらなければならない。
私が考えるに「D2C3.0」とは以下のようなものだ。
・主な顧客獲得手段:広告ではなく親しい人のオーガニックな投稿、リアルな知り合いからのおすすめ
・キービジネスドライバー:便益の強さ
・手段:顧客起点のパーソナライゼーション