現在日本には50余りのウイスキー蒸留所があるが、そのうち2016年以降に創設されたものが30軒と実に半分以上を占めている。これはこのころから始まった国産ウイスキーの人気上昇を如実に反映しているものだといえるだろう。
日本におけるウイスキーの黎明期を描いたTVドラマ「マッサン」の放映が14年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのが13年。日本の食文化に内外から注目が集まっていたこの時期にウイスキー蒸留事業がプランされ、建設が始まったとすればこの頃の稼働となるのは自明の理というわけだ。
とはいえ、多くの中小規模蒸留所が20年前後に稼働をし始めたなかで、ひときわ早く16年にスタートを切ったのがこの「静岡蒸溜所」。いま最も注目を浴びているウイスキー蒸留所のひとつだ。
12年にアイラ島のこぢんまりした蒸留所を訪れたオーナーが「これなら自分にもウイスキーがつくれるのでは」と考え、そこから4年で静岡の山中に蒸留所を立ち上げた。20年には初のシングルモルトを発売。22年には国産大麦100%の「シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版」をリリースするも人気で、すぐに品薄状態となった。
そこで、もっと気軽に、定番として飲めるウイスキーが欲しいと今年2月にリリースされたのが「ガイアフローウイスキー ブレンデッドM」だ。「外国産原酒を使いながらも、静岡らしさの感じられるブレンドを」という想いから、十分な原酒が揃うまでに5年の月日を要したという。3年以上熟成した静岡産モルト原酒を、英国産のモルト原酒、グレーン原酒と調和させ、緻密なブレンドを実現している。
このウイスキーを評して「リラックスしながらソーダ割りでごくごく飲める感じ。バランスがよいのでどんな料理にも合いやすく、自宅にあれば食中はもちろん、ナイトキャップにも。疲れたときにカスクストレングス(樽出しの度数の高いウイスキー)とかって飲めないじゃないですか」と笑うのは、「The Royal Scotsman」(東京・神楽坂)オーナー小貫友寛だ。
「いま国産ウイスキーの高騰が続いていますが、この『ブレンデッドM』は求めやすい価格にも好感がもてます。投資・投機の対象となるプレミアムウイスキーと異なり、飲んで楽しいウイスキーです」
香り高い羊肉料理を冷たいソーダで割ったハイボールで流し込む。思わず「ぷはぁ」と声が出る至福の瞬間だ。
ガイアフローウイスキー ブレンデッドM
容量|700ml
度数|48度
価格|3960円(希望小売価格)
問い合わせ|ガイアフロー株式会社 http://www.gaiaflow.co.jp
今宵の一杯はここで
The Royal Scotsman
バグパイプ奏者としても知られる小貫さん。
神楽坂に現れたリトル・スコットランド
英国やスコットランドの街角に立つパブをそのまま神楽坂にもってきたかのように異国情緒のある空間。国内外のクラフトビールと、ウイスキー100種超のコレクション、そしてフランス料理のシェフとして活躍していた小貫友寛の「フィッシュ&チップス」などのパブ料理を楽しみに、日夜愛好家が集う。ときにバグパイプの演奏が始まることもあり、東京にいながらにして旅行気分だ。
仕上げにウイスキーをかけて食べる英国伝統のパブ料理「ハギス(L)」1580円。
The Royal Scotsman
住所/東京都新宿区神楽坂3-6-28
Tel. 03-6280-8852
営業時間/火〜金17:00〜23:00、土15:00〜23:00、日15:00〜22:00
定休/月曜