この研究結果は、先ごろ米科学誌「プロスワン(PLOS One)」に発表された。主に米国の大学の研究者からなるチームは、南カリフォルニア大学が継続的に行っているオンライン調査「Understanding America Study」に参加しているおよそ1万8600人のうち、7109人に関するデータを分析した。
過去の複数の研究では、性格特性の変化に関連している可能性があるものとして、「個人的にストレスの多い、あるいはトラウマになるような経験をすること」が挙げられていたが、自然災害やパンデミックのような「集団での体験が影響を及ぼすこと」は、これまで指摘されていなかった。
調査対象者の年齢は18~109歳で、約41%が男性。女性が半数を上回った。いずれもパンデミックの発生前(2014~20年)に、少なくとも一度は「特性5因子理論」に基づく性格特性の分析を受けたことがある人たちだ。
5つの因子とは、個人の性格を特徴づける「外向性」「開放性」「誠実性」「協調性」「神経症的傾向」を指している。そして、調査の結果、これらの特性を示すスコアはすべて、パンデミック発生前と比べて低下していたことがわかった。
研究チームは、感染拡大への懸念から集まることが規則で制限されたり、自主的に控えるようになったりしていた1年以上の期間が、性格における「外向性」を低下させた可能性があると指摘している。
また、組織の一部であるという立場や、目前に果たすべき責任があるという状況から離れたことが、「誠実性」の低下につながったのだろうとみている。パンデミックが起きる以前は、スケジュールやルーティーンを定める外的な枠組みが、個人の誠実性のレベルとして認識されていた可能性があり、それらがない状況で、果たすべき責務を計画的に行い、やり遂げることは難しくなると考えられるという。