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2022.11.12

ウクライナ戦争でも注目の「韓国製兵器」、輸出額は世界8位に

Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images


一方、現代ロテムは、3年間で180台のK2戦車をポーランドに納入しようとしている。同社の戦車1台あたりのコストは、ドイツのクラウス・マッファイ・ヴェグマン(KMW)社の戦車の約半分だという。アラブ首長国連邦も、1月に韓国と35億ドルの契約を結び、中距離防空システム「チョンガン2」を購入した。

数少ない成長分野


韓国は、1969年に発足したニクソン政権が在韓米軍を縮小したことで、1970年代に自国の兵器産業の育成に乗り出した。韓国の武器メーカーは政府の手厚い保護を受けて事業を拡大したが、当初は、米国の規制により、米国にルーツを持つ多くの兵器システムを輸出することはできなかった。

しかし、2010年以降は、より積極的に海外市場を開拓するために、国産化率を高めた独自の兵器システムの開発が進められている。

韓国産業経済貿易研究院の防衛アナリストのWon-Joon Jangは、防衛産業は韓国の輸出額が減少する中で今年拡大した数少ない分野の一つであり、「政府はこの分野の成長をさらに拡大したいと考えている」と指摘する。

Jangによると、ハンファディフェンスはオーストラリア軍に歩兵戦闘車を115億ドルもの金額で提供する契約を獲得する有力候補と見られている。一方、ノルウェーは自国の主力戦車の後継として、ヒュンダイらが開発したK2パンサーとドイツのレオパード2のどちらかを選択することになっている。

韓国はまた、巨大な米国市場にも乗り込もうとしている。韓国航空宇宙産業とロッキード・マーティンが共同で製造したジェット練習機のTA-50は、2018年の米空軍の入札でボーイングに敗れたが、今後数年で他の米空軍と海軍のプログラムにも入札しようとしている。

一方、ハンファディフェンスは米国のオシュコシュと組んで歩兵戦闘車を製造し、米陸軍に売り込もうとしている。

韓国政府は、米国と相互防衛調達協定を結ぶことで貿易障壁を下げることを望んでいる。この協定を結べば、米国の「バイ・アメリカン」条項を回避し、防衛関連企業との協力をより緊密にすることが可能になる。

防衛アナリストのJangは、ドイツや英国、イタリアなどの欧州の国が、当面は輸出よりも自国の軍備の補充を優先させると予想し、そのことが韓国の武器メーカーに機会を与えると述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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