ビジネス

2022.11.11 08:00

韓国現代グループの御曹司が「インパクト投資」に注力する理由


農業テクノロジーにも注目


シルバンを率いるチョンは、「グローバリゼーションからの脱却」というトレンドにも関心を持っている。「米中の対立やパンデミック、そしてウクライナ戦争の影響で、世界のサプライチェーンは大きく変化した」と彼は語る。

そんな中、彼が注目する企業の一つが、都会のビルの中で野菜や果物を水耕栽培する香港の垂直農法のスタートアップ「Farm66」だ。「テクノロジーを活用した農業のポテンシャルを、可能な限り多くの人に伝えていきたい」と、同社の共同創業者でCEOのゴードン・タムは今年のフォーブス・アジアの取材に述べていた。

「農業は近いうちに重大な危機に直面することになるだろう」と話すチョンは、代替タンパク質や、他のサステナブルな農業テクノロジーにも関心を持っている。

他の投資家も、インフレと金利の急上昇に直面しながらも、食品関連の新興企業にすでに数百万ドルを投じている。例えば、細胞培養テクノロジーを使って魚のフィレや中国で珍味とされる魚肚(魚の胃袋)を育てる香港のAvant Meatsは、6月下旬にウォルマート創業者の孫が支援するS2Gベンチャーズの主導で1080万ドルを調達した。

また、シンガポールでは、植物由来の鶏肉代替食品メーカーのNext Gen Foodsが2月に1億ドルを調達したが、同社の投資家には、東南アジアの「アルファJWCベンチャーズ」、中国のフードテック関連のVC「Bits x Bites」、英国のサッカー選手デレ・アリ、中国のGGV Capitalなどの豪華な顔ぶれが揃っている。

「かつて、VCの資金が豊富だった頃に注目された、フードテック分野は、今ようやく実行可能なビジネスになりつつある。だから今こそ我々のような投資会社がこの分野を真剣に検討すべきだと考えている」とチョンは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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