ビジネス

2022.11.09 10:30

韓国で大人気の決済アプリToss グローバル市場を勝ち抜けるか

Getty Images


カリフォルニア州に本拠を置くアルトス・ベンチャーズの共同創設者兼マネジング・ディレクターで韓国系米国人のハン・キムは、韓国のモバイル・ファイナンスがいかに非効率的だったかと振り返る。
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「(送金するためには)いくつもの画面を移動しなければならず、頭に来たものです」(キム)

韓国の旧態依然としたオンライン送金システムを改善しようというイの執念がトスの成功を呼び寄せた、とハン・キムは言う。イは、利便性や効率性など変化のもたらす恩恵について規制当局を説得して回り、金融サービス業界に風穴を開けたのだ。

「フィンテックはそもそも、イノベーションを通じて顧客に大きな付加価値をもたらすウィン・ウィンのビジネスなのです」
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イは15年に規制当局者、政府担当官、当時の朴槿恵韓国大統領を招いた業界の集まりでそう述べた。ビバ・リパブリカを支援する最初の投資家となったハン・キムは、イは進んで学び、間違っていれば認める姿勢が際立っていると話す。トスは既存のサービスを補完する新機能を定期的に追加している。うまくいく機能は残し、そうでない機能は打ち切りつつ、半年にわたって毎週3つの機能を追加したこともあった。それは「社風」なのだという。

「失敗しても、最終的に成功するまで何度も何度も改善していくだけです」(イ)


Toss◎2015年に韓国でローンチした、送金アプリ。銀行、証券、保険など金融サービスを幅広くカバー、韓国のオンライン決済をめぐる環境を大きく変える存在となった。19年のベトナム進出を皮切りに東南アジアエリアへの本格的進出を果たしており、さらにグローバルな展開も視野にいれている。累積ユーザー数は2100万人、これまでにローンチしたサービスの数は50。資金調達額は22年上半期までに、9億4000万ドルに達した。運営会社のビバ・リパブリカは13年の設立後さまざまなアプリを開発したが、トスの誕生で多くの資金を調達するようになった。

イ・スンゴン◎ビバ・リパブリカの創業者兼CEO。韓国の名門ソウル大学の歯学部出身。歯科医を志したが、27歳で兵役を終え、開業準備に入った段階でアプリによる起業に目覚めた。2013年にビバ・リパブリカを創業。週2日、歯科医をしながらアプリ開発に取り組むなかで、使いやすい送金アプリに可能性を見いだした。

文=ジョン・カン 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

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