ウクライナ軍がT-62を1つの大隊にまとめたいと考えているのは間違いない。スロベニアが保管していた28両のM-55をすべて提供したのはそのためでもある。1つの大隊を編成するには十分な数だ。
ウクライナ軍ではT-80とT-64が部隊内で混在しているが、これらは部品を共有している。T-80、T-72、T-64は125ミリ主砲と12.7ミリ機関銃のバックアップという基本の兵装も同じだ。T-62の主砲は独特の口径で、それに合った弾薬を要する。
ウクライナ軍が旧ソ連の新旧のT-62を整備することは不可能ではない。ウクライナ軍は1991年のソ連解体時に、ソ連軍から数百両のT-62を受け継いだ。残っているそれらの戦車は空き地で錆びつつある。しかし、かつてそうした戦車を修理した技術者の多くは、少し高齢になってはいるがまだいる。
ウクライナ側がT-62を使うかどうかは選択の問題だ。しかし、老朽化したT-62を修理・整備して兵士を乗せるのはコストに見合わないと判断する可能性もある。
一方、ウクライナ軍は1950年代のM-46カノン砲やMT-LB装甲車両の車体に第二次世界大戦時の野砲D-44を組み合わせた即席のものなどT-62よりずっと古くて奇妙、そして珍しい装備を利用してきた。
ウクライナ軍はトラックを装甲戦闘車両に、戦闘車両を戦車にすることで軽旅団を強化する取り組みを意図的に行ってきた。現在、戦車を持たないウクライナの国防義勇軍は非常に古い戦車であっても気にしないかもしれない。
また、ロシア軍がそうしたように戦闘の気配がしただけでT-62を放棄するようなことをウクライナ軍はまず行わないだろう。ウクライナに展開するロシア軍は統率がとれておらず、補給不足で、訓練を受けていない召集兵がますます増えている。当然、召集兵らは戦車を放棄している。
対照的に、ウクライナ軍は巧みに統率され、供給も十分で、北大西洋条約機構(NATO)の最高の訓練のおかげで鍛えられたベテランがますます増えている。もしウクライナ軍がかつてロシア軍のものだったT-62を使うことにしたら、おそらくロシア軍よりうまく扱うだろう。
(forbes.com 原文)