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2022.10.27 08:45

オランダの決済大手「アデイエン」が銀行サービス提供へ

ピーテル・ヴァン・デル・ドーズ(Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch)

ピーテル・ヴァン・デル・ドーズ(Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch)

アムステルダムに本拠を置く決済大手アディエン(Adyen)は、米国と欧州で銀行免許を取得し、両地域で法人向け当座預金と中小企業向け融資の提供を開始する。
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この取組みは、競合フィンテック企業との差別化につながるものだが、アディエンの知名度が大幅に上昇するわけではない。同社はインフラをホワイトラベル方式で提供するため、他プラットフォームの顧客である中小企業からはアディエンのブランドが見えないからだ。潜在顧客としては、ストライプの大口顧客であるライトスピードやショピファイなどのプラットフォームが想定される。

アディエンは、2006年にピーテル・ヴァン・デル・ドーズ(Pieter Van der Does)とアーノウド・シュラフ(Arnout Schuijiff)によって設立された。2018年の同社のIPOに伴い、2人はビリオネアとなり、最近のフィンテック銘柄の暴落にもかかわらず、2人の資産額はヴァン・デル・ドーズが17億ドル、シュラフが23億ドルと、いずれもビリオネアの座を維持している。

アディエンの株式はユーロネクストで取引されており、現在の時価総額は400億ドル(約5.9兆円)と、昨年8月に付けた最高値である1000億ドルからは下落している。
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アディエンは、2021年にウーバーやスポティファイ、リーバイス、イーベイなどの顧客を通じて5160億ドルの取引を処理した。これに対し、競合他社の処理額は、ブロック(旧スクエア)が1680億ドル、ストライプが6400億ドル、ペイパルが1兆2500億ドルとなっている。

アディエンは、企業の決済処理で収集したデータを用いて、短期融資を実行する。返済期間は、通常6カ月という。借り手は、アディエンの決済サービスを利用しているため、同社は融資が完済されるまで顧客の売上から毎月一定割合を徴収する。

アディエンの新サービスは、ストライプやブロックのスクエア事業、ペイパルなどと競合することになる。しかし、同社は銀行免許を取得しているため、サードパーティの銀行パートナーを通さずにサービスを運用でき、自社で審査や承認を行うことで、より迅速に融資を行うことが可能だという。

「我々は、常にエンドツーエンドでサービスを構築しており、それが他社との最大の違いだ。競合は存在するが、どれだけスムーズでどれだけ効果的にサービスを提供できるかが勝負になる」と、アディエンのCEOであるヴァン・デル・ドーズは話す。

コンプライアンス負担は増加


アディエンは、2017年に欧州中央銀行に代わって、オランダ中央銀行から欧州での銀行免許を取得した。2019年には、外国銀行が米国で支店を営業するためのライセンスの申請を開始し、2年後に通貨監督庁と連邦準備制度理事会からライセンスを取得した。このライセンス取得によって、サードパーティの銀行パートナーに支払うコストが不要になるが、コンプライアンスなどの費用が増える可能性がある。

オースティン本拠のHunton Andrews Kurthのパートナーで、銀行とフィンテック規制を担当するErin Fonteは、次のように話す。「フィンテック企業の多くは銀行になりたいと考えているが、高金利やコンプライアンス、遵守義務などが存在する環境で銀行になることの本当の意味を彼らに話すと、彼らはそれを自分たちのコアなミッションやビジネスにしたくないことに気づくのだ」

今後、アディエンはバランスシートにローンを計上するため、デフォルトリスクを抱えることになる。ストライプとペイパルは銀行免許を取得しておらず、提携銀行を通じて口座と融資を提供しているため、規制責任と融資リスクは提携銀行が負っている。ブロックの100%子会社であるスクエア・ファイナンシャル・サービスは、産業融資会社を通じてローンや預金口座を提供しているが、自社のバランスシートにローンを計上していない。スクエアは、銀行パートナーを通じて当座預金口座を提供している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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