ビジネス

2022.10.26

「サステナブル」企業の最前線! 3つの重要キーワード別 TOP20

イラストレーション=ブラティスラフ・ミレンコビッチ

発売中の「Forbes JAPAN」2022年12月号の特集「人と社会を活かす会社100」では、東証プライム上場企業を対象に「ステークホルダー資本主義」「人的資本」「ダイバーシティ」「気候変動対策」「持続可能性」「働きがい」「非財務情報開示率」の7つのランキングを作成した。

7つのランキングのうち、本記事では、「人的資本」「ダイバーシティ」「気候変動対策」の3ランキングを掲載する。

企業の未来を支える人材と、企業を取り巻く地球環境に積極的に投資することは、組織の中・長期的な発展性を高めることにつながる。注目すべき3つのテーマを軸に、大企業のサステナビリティ度を算出した。


未来を予測しにくいVUCAの時代に、長期的な成長に向けて取り組んでいる企業はどこか。ESGやSDGsに特化した非財務ビッグデータプラットフォームを運営するサステナブル・ラボの協力の下、3つのキーワードに着目して東証プライム上場企業1839社の非財務情報を収集・分析。算出したスコアを基にランキングTOP20を作成した。

1つめのキーワードは、2022年に一気に関心が高まった「人的資本」だ。言うまでもなく、人材は企業の競争力やイノベーションの源泉である。自社の人材を「資本」ととらえ、経営戦略とひも付けながら具体性と実効性を備えた人材戦略を打ち立て、社員一人ひとりの価値を最大限に引き出すことは、企業が持続的に成長するうえで欠かせない。

人的資本の開示の流れは、この1年で加速している。東京証券取引所は21年6月にコーポレートガバナンス・コードを改訂し、人的資本に関する情報開示の項目を追加した。日本政府も動き出している。22年8月には内閣官房が「人的資本可視化指針」を公表。人的資本を「社会のサステナビリティと企業の成長・収益力の両立を図る『サステナビリティ経営』の重要要素」と位置付け、具体的な開示事項例を示している。

こうした流れを受けて、今回のランキングでは、「従業員1人あたりの人件費」「従業員1人あたりのキャッシュ・フロー」「従業員満足度」をはじめとする計16指標を用いて各社の人的資本のスコアを算出した。ランキングの上位20社を見ると、5社が商社、4社が医薬品関連企業という結果になった。
 
2つめのキーワードは「ダイバーシティ」だ。人的資本を高めるうえでも欠かせないテーマだが、日本は世界的に見てダイバーシティ度が低いことが指摘されている。世界経済フォーラムが22年7月に発表した「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)によると、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位で、主要7カ国(G7)のなかで最下位だった。指標別に見てみると、管理職に占める女性の割合の低さが際立っている(130位)。

無論、ダイバーシティは男女平等だけを意図するものではない。性別や年齢などの属性にかかわらず、多様な価値観やバックグラウンドをもつ人たちが自らの個性 COLUMNを発揮し活躍できる、インクルーシブな環境こそが重要だ。そこで、ランキングの作成に当たっては「女性従業員比率」「取締役の年齢差」など計16指標を用いた。

スコアを算出した結果、1位に選ばれたのは150以上の国と地域で商品やサービスを提供する住宅設備関連メーカーのLIXILだった。人材を自社の持続的な成長の要と位置付け、インクルージョンを中核に据えたダイバーシティ経営を実践している。
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編集=瀬戸久美子 解析=サステナブル・ラボ

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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