新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の粒子は、空気中に数時間にわたって残存することが、数多くの科学文献で明らかにされている。そして、2021年に発表されたレビュー論文では、空気調和(空調)設備の有効性が指摘されている。
発話や咳、あるいは呼吸によって空気中に放出されるSARS-CoV-2の粒子は、それぞれ大きさや推進力などが異なる。それらの粒子がどのように移動するか調べた2022年の研究では、話すこと、歌うことで放出された呼吸器由来のエアロゾルから、より多くのウイルスの遺伝子が確認された。さらに、発声によって空気中に飛散したウイルスの微粒子はその小ささから、ヒトの肺のより深くまで入り込む可能性が高いとの結果が示されている。
感染の拡大を抑制するための室内環境の調整は、以下のような方法で行うことができる。
換気:
換気は空気を交換させ、空気の流れを増加させ、ウイルスへの暴露のリスクを低下させる。自然な換気がなされない、つまり屋外へのアクセスがない状況の室内では、(空気の流れを効果的に変えることができないとしても)、適切な換気を行うことにより、汚染された空気を効果的に希釈することができる。
これまでの多くの研究により、換気の悪い場所では統計的に有意に感染リスクが上昇することが確認されている。
ろ過:
空気のろ過は、呼気エアロゾルを除去し、ウイルスへの暴露と感染リスクを最小化することに非常に有効であるとされている。2021年に発表された研究結果によると、手ごろな価格で入手可能な「MERV13フィルター」は、0.3〜1μmの粒子を少なくとも50%捕集できる。また、1〜3μm、3〜10μmの粒子であれば、それぞれ85%、90%を捕集できるという。
遠紫外線:
科学者たちは何十年も前から、細菌やウイルスなどの微生物を除去し、作業台を殺菌するために遠紫外線(UVC)ランプを使用してきた。