経済学者は、パンデミックによって30万〜50万人の子どもの減少が加速されると予測していたが、その懸念は現実のものとならなかった。それどころか、米国における2021年の出生率は、2015〜2019年と比較して6.2%増加した。これは、4万6000人の子どもの増加に相当する。
1つの仮説としては、ハイブリッドワークが、働く親が家庭を築くことを奨励し、可能にする状況だったというものだ。在宅勤務は育児、通勤、家族と過ごす時間など、一般的な懸念を軽減するのに役立ったかもしれない。
不況になると出生率は下がるものだが、今回はそうではなかった
不景気になると子どもを産みたくなくなるのは当然だ。例えば、2007年の大不況の際には出生率が急激に低下した。今回の出産ラッシュは、それ以来の少子化に対する大逆転だ。Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のCEOであるデイビッド・ソロモンは、最近ロイターに対して、景気後退の「合理的な可能性」があると述べているが、このことが他にどのような変化をもたらすだろうか。職場はどのようにして従業員への予期せぬ影響に備えることができるのか。
「波及効果」を理解する
賢明な企業は不確実な世界の変化を予測し、それに適応していく。しかし、さらに一歩踏み込んで、ある行動や環境要因が次にどのような影響を及ぼすかを予測する必要がある。結局のところ、どのような行動も真空中には存在しない。行動科学では、これは「波及効果」として知られている。
もし、フレックスタイム制がベビーブームにつながったとしたら、次のステップは何だろうか? フレキシビリティに対する要求が高まるだろうか? 休暇の申請や、出勤が義務付けられている場合の託児所の設置が増えるのだろうか? 企業は、このような波及効果を考慮する必要がある。
フレキシブルな職場には強力な育児休暇制度が必要
フレキシブルな働き方は、家庭を持つことを選択した特定の女性たち、つまり大卒の女性や30~34歳の女性たちにとって、出産にかかる機会費用が大幅に削減される原動力となった。企業は、自社のフレキシブルワークポリシーがどのように人材を惹きつけるのか、しっかりと見極める必要がある。そして、さらに重要なことは、これらのポリシーが育児休暇政策とどのように連動し、魅力的なパッケージを作り上げているかということだ。
(forbes.com 原文)