ヒトの場合、通常はひとつの毛穴から1〜4本の毛髪が生えている。その毛髪の根本を包んでいる頭皮の組織を毛包と呼ぶ。毛包の中には毛髪の元となる毛母細胞があり、それが細胞分裂を繰り返して毛髪になる。通常、毛包の中に複数の毛母があっても、それらは独立していて独自のサイクルで生え替わっている。ところが、何らかの原因で毛母が近づいて融合すると、そこからうねり毛が伸びてしまうというのだ。
中野製薬は、ヒトの直毛とうねり毛の断面を比較し、さらに毛髪の細胞に関与する複数のタンパク質について調べたところ、うねり毛ではそれらのタンパク質が不均一になっていることがわかった。なかでも、細胞の分化などにとって重要となる刺激を伝える「シグナル伝達経路」の不具合が毛母細胞の融合に関係していると推測された。
どうして融合するのか、その原因がハッキリすれば、後天的なうねり毛を元に戻したり防いだりすることが可能になる。中野製薬では今後さらに研究を進め、「後天的なうねり毛の予防につながるヘアケア商品の開発」につなげたいと話している。
文 = 金井哲夫