コネチカット州スタンフォードに本社を置く投資調査会社マクロレンズ(Macrolens)でマネージングパートナーを務めるブライアン・マッカーシー(Brian McCarthy)は、「FRBがどちらかを犠牲にするという見方が強まっており、もはや単なる噂話ではない」と述べる。「FRBのこれまでの対応から考えれば、(二者択一は)避けられないだろう」
アトランタ連邦準備銀行の予測によれば、米国経済は、2022年第3四半期末までの12カ月間で約3%の成長を達成する見込みだが、四半期成長率は右肩下がりだ。
一方、多くの人々が指摘するように、FF金利の急激な上昇は、1981~82年に当時のポール・ボルカーFRB議長が市場を暴落させて以来の高水準を維持しており、銀行は、負債(証拠金損失など)の返済のために現金をため込んでいると報じられている。
米国では、ホリデーシーズンを前に、輸送船会社が多数の運行をキャンセルしており、需要の低迷と、過熱気味だった個人消費の落ち込みの兆候が見られている。消費が過熱した主要因は、1年半に及ぶ強制的ロックダウンと量的緩和による景気刺激であり、結果として米国では、ジミー・カーター政権以来の貯蓄増加とインフレが起こった。
一方で、市場の低迷を受けて、リスク選好型投資が再燃している。これにより、S&P500指数は底堅く推移し、投資家はしばらくの間、さらなる下落をあまり恐れることなく安値買いができるかもしれない。
底がどれだけ強固であるかは、誰にも予想はできない。それは、FRBの決定と、戦争の行方に大きく左右されるだろう。しかし、「S&P Global Investment Manager Index(IMI)」によれば、短期的には市場は「改善傾向」にあり、証券価格の下落を背景に、新たな関心を集めている。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス(S&P Global Market Intelligence)でエグゼクティブ・ディレクターを務め、IMIリポートを執筆したクリス・ウィリアムソン(Chris Williamson)は、「価格の下落により、リスク選好型投資が促進されている」と述べている。
しかし、過度の期待は禁物だ。弱気相場における反騰は、珍しいことではない。
「全体として、米国と世界の経済の見通しが憂慮すべきものであることに変わりはない」と、ウィリアムソンは述べた。
(forbes.com 原文)