従来の皮膚ガン検査には、痛みを伴う生検が必要だったがDobakは、それを不要にする粘着シールを開発した。そして、彼は友人や家族から資金援助を得て、2017年にカリフォルニア州本拠のスタートアップ「DermTech」を設立した。
「数十年に渡るメラノーマの研究により、遺伝子に変化が生じていることがわかった。それを見ることができれば、ガン化したかどうかを判断できる」とDobakは話す。
しかし、皮膚科医たちはDermTechのアプローチに懐疑的で、製品の導入をためらったという。Dobakによると、患者よりも皮膚科医と保険会社の説得に苦労したという。
DermTechの費用は一部の保険会社やメディケアでカバーされているものの、より広く利用できるようにするためにはやるべきことがまだ多い。同社は、同社の検査が保険適用外であった場合、患者に代わって保険会社を説得し、カバーするよう促している。患者は、DermTechのウェブサイト上からこのレターの発送を依頼することができる。
Dobakは、DermTechが診断を向上させるだけでなく、医療システムにとって有益だと主張する。彼によると、毎年約20万人がメラノーマと診断されているが、診断のために行われている生体検査は400万件以上にのぼるという。「医師はメラノーマを見逃したくないため、抵抗があっても検査しているのが実情だ」と彼は言う。
このことは、多くの人に不快な生検を強いるだけでなく、医療システムのコストを高めている。従来は、1回の検査に1200~1400ドルの費用が掛かっていたが、DermTechのシールであれば、患者の自己負担額は平均75ドル以下で済む。
DermTechの粘着シールは、ゲノム検査に必要な表皮細胞を十分に採取できるため、皮膚を切り取る必要がない。メラノーマは、早期発見によって完治が可能なガンの1つで、実際、99%の症例が治癒可能だ。