ほとんどの人にとって、新型コロナウイルスはすでに恐れるべきものではなくなっているようだ。一方で、米国ではここ数カ月の間も、報告される感染関連の死者数は、1日あたり400〜500人となっている。そして、後遺症に苦しむ人は、数百万を超えている。
ワクチンは死者や重症化する人を大幅に減らすことを助けた。だが、その感染を防ぐ力は、よく言っても「限定的」だ。そのため感染対策がほとんど行われなくなった米国では、市中感染が依然として、危険なレベルで高止まりしている。
また、ウイルスの変異は避けることができない。感染者が多ければ多いほど、ワクチンで獲得した免疫や自然免疫を回避する特性を持った変異株や、その亜種が出現する可能性は高まる。
予想される今後
西欧の各国で、感染者と入院者の数が増加している。季節の変化とワクチン接種で得られた免疫力が低下していることだが主な理由だ。だが、主流となっているオミクロン株の新たな亜種が出現していることも、一つの要因だ。
欧州で起きることは、その域内にとどまらない。米国でも北東部から、新たな感染の波が起ころうとしている。マサチューセッツ州で下水に含まれる新型コロナウイルスが急増していることは、それが差し迫っていることを示唆している。
欧州でもその他の地域でも、最も危険視されているのはオミクロン株の亜種「BA.5」から派生した「BQ.1」と「BQ.1.1」だ。ほかにも「BA.2.75.2」と「XBB」の2種類の亜種が、警戒されている。特に「XBB」は、これまでに確認された亜種の中で、免疫を回避する力が最も強い可能性があるとされている。
米国では現在、「BA.5」と「BA.4.6」が流行の中心となっており、これらが感染者全体の約94%を占めている。だが、専門家らは、また新たな亜種への置き換わりが起きることを警戒している。