ダウ工業株30種平均は4日までの2日間で6%近く上げたあと、5日には小幅に反落した。S&P500種株価指数とハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数もやや下落した。
モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソンは「多くの投資家の頭を占める疑問は、FRBがピボット(政策転換)するかどうかでなく、いつピボットするかに再び移ってきている」とリポートに書いている。さらに、FRBの政策は金融や経済の圧迫が避けられないほど引き締められており、米経済は「危険水域」に入っているとの認識も示している。
ウィルソンは、FRBが市場の「急激な」動きを受けて利上げペースを和らげるのは「時間の問題」だとする。ただ、その動きがどんなものかは現時点で誰にもわからないとも付言している。
FRBが積極的な金融引き締め策を転換すれば、株式や、暗号資産(仮想通貨)などほかのリスク資産の相場は再び上昇するはずだが、ウィルソンによれば欧州の景気低迷やドル高、中国の経済再開をめぐる不透明さなど、次々に浮上しているリスクによって、向こう2四半期の企業収益は損なわれるおそれが強いため、上昇が長続きするとは考えないほうがよいという。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブスは5日のリポートで、今後1カ月の間に発表される決算はとくにテクノロジー大手の場合、「非常に重要」なものになると指摘する。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪さがあらわになって来年にかけて収益が大幅に落ち込む方向になるのか、それとも、経済状況の悪化にもかかわらず多くのテック企業がよくもちこたえていることが示されるのか注目される。
モルガン・スタンレーはS&P500について、最終的に3000~3400ポイントで弱気相場の底を打つと予想している。今年21.5%下落しているS&P500はさらに10~20%下がるという見通しだ。
一方、市場関係者のなかには、FRBがタカ派姿勢を和らげるのか確信をもてない向きもある。オアンダのアナリスト、エドワード・モヤ氏は5日のリポートで、給与計算サービス会社ADPが発表した9月の米民間雇用が予想を上回る増加となったことなどを引き合いに、「FRBがピボットするには経済が強すぎる」と述べている。
FRBは年内に政策金利をさらに1.25%幅引き上げるとみられているが、実際にそうするかは今後の経済データ次第だ。投資家は7日に発表される9月の雇用統計が予想より悪い内容になるか、もしくはその後発表される9月の物価上昇率が予想より抑えられ、利上げ幅が縮小されることを期待している。
(forbes.com 原文)