米労働省が10月4日に発表した8月末時点の求人件数は1010万件と、前月の1120万件から大幅に減少し、1110万件の予想を100万件下回る結果となった。
最も減少したのは医療、サービス、小売業で、それぞれ23万6000件、18万3000件、14万3000件の減少だった。また、採用者数は前月とほぼ同じ630万人だった。
パンテオン・マクロのエコノミストのイアン・シェファードソンはEメールのコメントで、このデータが「労働需要が弱まる最初の明確な兆候」であり、今後の雇用にとって「不吉な兆候」となる可能性があると述べた。しかし、この状況が続くのであれば、経済成長を減速させ株価に大きな打撃を与えてきた積極的な利上げを緩和するよう連邦政府にプレッシャーを与えると指摘した。
シェファードソンは、現在の失業者1人あたりの求人件数が約1.67人で、依然として高い水準ではあるが、以前の1.97人からは減少しており、8月の急減を受けて今後数カ月にわたり減少する可能性が高いと述べた。
年内の利上げは中止の可能性
このような兆候は、米国の600万人の失業者の選択肢が狭まることを意味するが、Sevens Reportのアナリストのトム・エッセイは、投資家はこのような需要緩和の兆候とインフレ指標の急速な低下を確認することで、最近の株価の上昇を継続を望んでいると述べている。
アリーのチーフストラテジストのリンゼイ・ベルは、「直近の方向性を決めるのは、7日に発表される雇用統計だ」と述べ、市場が上昇を続けるためには、9月の雇用者数が前月比で約25万人増を見込む予想と一致するか、それを下回る必要があると指摘した。
シェファードソンは、この状況が今後数カ月継続し、コア・インフレが予想通り低下すれば、FRBは年内の125ベーシスポイントの利上げを中止するだろうと述べた。
連邦準備理事会(FRB)のタカ派的な政策により経済の一部がすでに動揺しているにもかかわらず、雇用市場は堅調に推移している。それを裏付けるデータとして、新規失業保険申請件数は予想外に減少し、継続申請件数も小幅に減少した。しかし、多くの専門家は、労働市場がまもなく減速に転じることは避けられないと述べている。コメリカ銀行のチーフエコノミストのビル・アダムスは「景気後退に陥ることなく、失業率が緩やかに上昇し、賃金が低下することはあり得るが、これまでそんなことはなかった」と述べた。
(forbes.com 原文)