ベルギーでは9月第2週から翌週にかけて、新規感染者数が17%、入院者数が4%増えた。デンマークでは、入院の報告件数が6%増加。さらに、英国でも感染者と入院者数がそれぞれ13%、17%増えている。
欧州でみられるこうした状況は、一時的なものではないと考えられる。理由はいくつかあるが、ひとつはこの地域ですでに秋が始まっていることだ。感染は気温が下がり、乾燥すると拡大の可能性がより高くなることがわかっている。
空気が乾燥する、つまり水分が減ると、ウイルスを運ぶ飛沫が減り、同時に飛沫に含まれるウイルスの濃度が上昇する。そして、より小さく、軽くなった飛沫は遠くまで飛んでいきやすくなり、ヒトの気道にも入り込みやすくなると考えられる。気道の防御能力は水分や粘液に依存するものであるため、寒さや乾燥によって、その力が弱まる可能性もある。
そのほか、秋から冬にかけては屋内で活動することが多くなることから、ソーシャルディスタンスの確保や、換気の良い状態を保つことが難しくなる。つまり、一部の国ですでに流行が再拡大していても、それほど驚くことではない。
感染拡大のその他の理由
感染が拡大する理由は、季節以外にもある。また新たに登場したオミクロン株の亜種、「BQ.1.1」と「BA.2.75.2」だ。感染者全体に占める割合はまだわずかだが、増加傾向がみられている。
これら2種類の亜種は、スパイクタンパク質に変異が確認されており、すでに感染が広がった亜種の「BA.5」に暴露、またはワクチン接種を受けていても、得られている免疫の一部を回避することができる。
そして、欧州、さらには米国でも再び感染者が急増すると考えられることには、もう一つ別の大きな理由がある。