経済・社会

2022.09.26 08:00

世界の大富豪は2026年までに40%近く増加 北米と中国が圧倒的

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金融大手クレディ・スイス・リサーチ・インスティチュートがこのほど発表したレポートによると、2026年には世界で億万長者が2021年末に比べ4割近く増加するという。

クレディ・スイスのEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域担当最高投資責任者で経済・研究グローバル責任者のナネット・ヘクラー・フェイデルベは、今後5年間の見通しとして「富は引き続き増加する」と述べた。

「インフレ率の上昇により、世界の富の予想額を実質ドルではなく現行ドルで計算するとさらに大きなものとなる。2024年までに世界の成人1人当たりの富は10万ドル(約1430万円)を超え、今後5年間で大富豪の数は8700万人を超えると予測している」と説明した。

クレディ・スイスが発表した年次報告書「グローバル・ウェルス・レポート2022」によると、株価上昇と低金利により昨年の世界の富は総額463兆6000億ドル(約6京6000兆円)で、現為替レートで9.8%増加した。成人1人当たりの富は8.4%増の8万7489ドル(約1250万円)だった。

すべての地域が世界の富の増加に貢献したが、なかでも北米と中国が圧倒的で、北米が世界全体の半分以上を占め、中国が4分の1を占めた。北米と中国が最も高い成長率を記録し、それぞれ約15%だったという。

大富豪の数は米国が引き続きトップで、5000万ドル(約71億円)以上の富を持つ超大富豪が14万人以上いる。中国が3万2710人でそれに続く。昨年末時点の世界の大富豪の数は前年より520万人多い6250万人とクレディ・スイスは推定している。

しかし今年は厳しそうだ。「いくつかの国が成長鈍化、あるいは景気後退に直面するため、昨年の例外的な富の増加が2022/2023年にいくらか反転する可能性がある」とレポートにはある。金利上昇はすでに債券や株価に悪影響を与えており、非金融資産への投資にも打撃を与えそうだと指摘する。

長期的には成長は回復するとクレディ・スイスは予測している。「名目米ドル建ての世界の富は2026年までに昨年より169兆ドル(約2京4190兆円)増加し、率にして36%増が予想される」という。

富の増加の享受者は、これまで以上に世界各地に広がるとレポートは予測している。「中低所得国は現在、富の24%を占めているが、今後5年間で富の増加分の42%を占めるようになる。中所得国が世界的なトレンドの原動力となるだろう」とクレディ・スイスは述べている。

レポートはこちらから閲覧できる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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