イタリア人も太鼓判 日本のピザの名店12選出と最新トレンド


ピザと一言に言っても、そのバリエーションは多彩だ。サペレさんは、地元のピザを例に出しながら、次のように語る。

「実は、ピザはイタリア国内でも地域性があり、ナポリからわずか50キロの私の故郷でも、ナポリピザとは違う、独自のピザが食べられています。私の故郷のピザはナポリのものよりもカリッとしていて、切り分けたピザを持ち上げた時に、真ん中の具が落ちないのが特徴です。でも、ローマピザほどはカリカリではない。製法も違うのです。

通常ピザの生地を作るには、粉に水を加えて行きます。でも、ナポリは昔、あまり豊かではなかったので、貴重な粉の使用が最小限ですむように、水に粉を入れていく。それくらい、細かく地域性によって分かれているものなのです。今ではナポリ風ピザが世界で食べられるようになりましたが、2000年頃までは、ナポリと日本でしか食べられていなかったんですよ」


主催者のアルベルト・サペレさん

それには、ビル・クリントン元米大統領が大きく関わっているのだという。クリントン氏は、1994年のナポリサミットの際、SPのついていないタイミングを見計らって、こっそりある店にピザを食べに訪れた。

現在「プレジデンテ」の名で知られるその店は、クリントン氏と撮った写真で有名になり、「ピザといえばナポリだ」と、日本から多くのピザ職人がナポリに修行に訪れた。そして、彼らが日本でその技を高いレベルで再現しているからだという。



サペレさんに、昨今のピザのトレンドを聞くと、「グルテンフリーのニーズに応える長時間発酵のピザ」と「庶民のストリートフードから脱却した新しいピザ」だと言う。

例えば、日本トップのザ・ピッツァ・バー on 38thはそれらを両立している。同店は、マンダリン オリエンタル 東京の総料理長でもあるダニエレ・カーソン氏が監修し、日本の山菜など季節の食材にこだわったピザ、チョコレートを使ったデザートピザなど、様々なスタイルのピザを“コース仕立て”で提供。時にはカーソン氏自らがカウンターに立ち、「おまかせ」スタイルで季節のピザを作ることもある。

また、シェフソムリエの野坂昭彦氏がセレクトした日本のクラフトビールや日本ワインとのペアリングが用意されているなど、「美食体験としてのピザ」を提供してる。加えて、「24時間以上発酵することで、グルテンの消化が良くなる」ということで、ピザ生地は48時間発酵させているという。

気軽なストリートフードから美食体験へ、ピザの世界も、新しい時代への変革を迎えているのかもしれない。

文=仲山今日子

ForbesBrandVoice

人気記事