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2022.09.20 13:00

木星の軌道が変化すると地球はもっと暮らしやすくなる?

(c)NASA

知られているすべての惑星の中で、地球はどの惑星よりも暮らしやすいといえるだろうか? 木星の軌道が変われば、地球が今以上に居心地が良くなることを最新の研究が示している。


惑星が恒星の周りを完全な円軌道で回っているとき、恒星と惑星の距離は変化しない。しかし、ほとんどの惑星は恒星の周りを「偏心」した軌道で回っている。これは軌道が楕円形であることを意味している。恒星に近づくと惑星はより多くの熱を受け取り、気候に影響を与える。

現在の太陽系から得たデータに基づく詳細なモデルを使用して、カリフォルニア大学の研究チームはもう1つの太陽系を作った。この理論上のシステムを使って、もし巨大な木星の軌道がもっと偏心すると、地球の軌道の形に大きな変化をもたらしていたであろうことを発見した。

「もし木星が今のままの位置で、軌道の形だけが変わったら、私たちの惑星の住心地をもっと良くしていたでしょう」と、カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)の地球・惑星科学者で本研究の主著者であるパム・ヴァーヴートはいう。

木星の巨体と引力は、地球が太陽を周回するこの太陽系のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に向かって飛んでくる大型隕石のほとんどの方向をそらす。ハビタブルゾーンとは恒星を周回する軌道の範囲を指し、そこでは液体の水が存在し、表面温度は0℃から100℃の間を保っている。この温度範囲は、地球を既知の複数の生命体にとっても居住可能な場所にする。ただし非常に冷たい地域と暑い地域は生命にとって都合が悪い。

「地球は典型的な居住可能惑星であるため、巨大な木星の軌道の変化が起きたら、どのようなものでもそれは地球にとって良いはずがないと多くの人が信じています」とヴァーヴートはいう。「私たちの研究は、どちらの仮定も誤りであることを示しています」

モデル上で研究者たちは、木星の軌道経路の離心率を大きくしていき、最終的に地球の軌道に交わらせた。すると巨大なガスの巨人が生み出す重力撹乱が地球の軌道を押して離心率を大きくした。必然的に地球は太陽に近づき、地球の太陽に向かう角度、あるいは太陽からそれる角度は小さくなる。地球で現在氷点下の地域は暖かくなり、居住可能地域の気温が上がる。

この同じモデルは、もし木星が太陽にもっと近ければ、地球を極端に傾かせ、地表の広い範囲が氷点下になることもわかった。

「木星が時間とともに地球の気候にどんな影響を与えてきたのか、地球の軌道に与えた影響が過去どのように私たちを変えてきたのか、将来再び私たちを変えるとしたらどうなるのか、これらを理解することが重要です」とUCRの宇宙物理学者で本研究の共著者であるスティーブン・ケインが説明した。

つまるところ、巨大惑星の動きはこの太陽系だけでなく、他の恒星系の惑星の居住可能性について予測を立てる上でも重要なのだ。

論文『System Architecture and Planetary Obliquity: Implications for Long-term Habitability』は、The Astronomical Journal (2022)に掲載された。資料はカリフォルニア大学リバーサイド校の Jules Bernsteinから提供された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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