世界初、水で古紙再生する「紙の洗濯機」でエコシステムを体感

小型製紙機「RECOTiO」の投入口に不要になった資料をフィードすると──

紙の再生、リサイクルに、われわれは現状、どう関わっているだろうか。

不要になった資料を「再生紙」のスペースに置いておくと、回収業者がいつの間にか回収していく、その後のことはわからない、が通常ではないだろうか。

だがここに「オフィスでの紙リサイクルが自分でできる」再生用製紙機が誕生した。

まずは資料を作る、そのコピーを取る。あとから、不要になった資料をこの製紙機の投入口にフィードする。そして、印字が「洗い流されて」出てきた再生紙をまたコピー機のトレイにセットして、別の資料のコピーを取る。

そのサイクルを自らの手でぐるぐる回し、紙材を何度も使うことができるのだ。



エコシステムの回転をまさに「体感」できるこの装置、小型製紙機RECOTiO(レコティオ)は、SDGsの12個目の目標である「つくる責任 つかう責任」に、まさに大きく貢献できそうな商品でもある。加えて機密文書処理の外部委託が必要なくなることも、企業にとっては魅力かもしれない。

開発したのは、和歌山県紀の川市のデュプロ精工。

RECOTiOとは、水だけで古紙100%の白い再生紙が全自動で作れる小型製紙機である。


小型製紙機 RECOTiO(レコティオ)EV-i250

操作方法は簡単で、使用済み用紙を投入口にセットし、スタートボタンを押すだけ。世界初のトナー(印字成分)除去機能を搭載しているので、水だけで古紙100%の白い紙に再生できる。

再生の対象はコピーに使用できるPPC用紙で、モノクロ・カラーどちらも可能だ。用紙のサイズも、投入口に入る大きさであれば折り畳むなどして再生できるので柔軟に使用できる。

null

RECOTiOという言葉は、Recycle、Ecology、Continueの三つの言葉を組み合わせた同社の造語で、リサイクルやエコを継続的に行うという意味が込められている。

その意味通り、RECOTiOは環境保全に貢献するという特徴を持つ。使用済み古紙をリサイクルすることでゴミの減量につながるほか、製紙工程や購買の流通過程で発生するCO₂の低減にも貢献する。

オフィスでSDGs─繊維レベルにまで溶解、機密文書の処理にも


学校やオフィスなどで導入された場合、紙をシュレッダーに掛ける必要がないため紙の繊維劣化が抑えられ、繰り返し半永久的に紙を再生し続けられる。

また、RECOTiOは、機密文書の処理が独自で可能になるという利点を持つ。RECOTiOは、用紙を水に溶かし繊維レベルにまで溶解するので、シュレッダーよりも確実な機密保持が可能だという。

生産性にも優れており、1時間当たりにA4普通紙250枚・A4厚紙110枚もの紙が再生できるという。

実際に、オフィスでRECOTiOを導入する企業も増えている。

東京都中野区のDINOS CORPORATIONは、RECOTiOを用いて、「自社再生紙」で作られた社内報を発行するプロジェクトを立ち上げた。

通販事業を展開する同社は、昨年2021年に50周年を迎え、SDGsに貢献するため「サステナビリティビジョン2030」を策定した。そのなかで掲げられている「責任ある紙の使用」に取り組むにあたって、RECOTiOを使用した古紙再生プロジェクトが立ち上がったのだ。

同社の物流センターで使用済みとなったコピー用紙や不要な書類など、A4サイズの古紙を回収。そして古紙再生にはRECOTiOを使用し、A4の白い再生紙を3000枚製紙し、社内報用紙に使用しているという。

null
同社の社内誌「Everything Has A Story」

「再利用やリサイクルが容易である「紙」を、職場という身近な場所で循環させることで、紙の可能性を広げると共にサステナブル意識の向上に繋がる」とデュプロ精工株式会社は考えている。小型製紙機RECOTiOが、今後どのようにSDGsに貢献していくのか、期待したい。

文=伏見比那子 編集=石井節子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事