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2022.09.09 07:45

アルファベットと傘下のGV、医療・ヘルスケア分野への投資を拡大

Piotr Swat / Shutterstock.com

GVは、もともと2009年にグーグルからスピンアウトしたベンチャーキャピタルだ。当初の名前はGoogle Venturesだったが、2015年にGVと改名し、グーグル親会社アルファベットの傘下となった。運用資産は80億ドルを超えており、これまで世界の名だたる企業のいくつかに投資してきた。

なかでも目を引く投資先は医療・ヘルスケア関連が多く、GVが同業界全体に関心を抱き注力していることを示している。

例えば、投資先のひとつであるフラティロン・ヘルス(Flatiron Health)は、「がん治療の改善と研究の促進に特化したヘルステック企業」で、「数百のがんセンター、20を超す世界的な腫瘍治療法の開発業者、および世界中の研究者や規制当局」と提携している。同社は2012年に小規模でスタートしたが、2018年には、医療・製薬大手のロシュに買収された。以降、両社は協力して、腫瘍学分野における治療と研究に大きな変革をもたらしている。

もうひとつの目を引く投資先は、遺伝子編集技術のパイオニアである先進的なバイオテクノロジー企業、エディタス・メディシンだ。同社は大胆なミッションを掲げている。「我々は、医薬品開発の革新的アプローチとして、遺伝子編集技術『CRISPR(クリスパー)』を用いたプラットフォームを構築した。この技術の進歩により、ヒト細胞のほぼすべての遺伝子を改変することが可能になった。近い将来、治療可能な疾患の幅が広がるかもしれない」

エディタスは大きな支持を集めており、2016年には、1株あたり16ドルの価格で新規株式公開を実施する意向を表明した。それ以降も、遺伝子編集の分野で画期的な成果を上げ、技術の開拓を進めている。

GVは、医療・ヘルスケアに関する自社の全体的立場を明確にしている。「我々は、医療提供、医療IT、機器、診断、治療法など、広くヘルスケア全般を投資対象としている。我々の関心は幅広く、特に医療と情報技術の接点にある企業に関心を寄せている」と同社は述べている。

GVのベンチャーパートナーであるベンジャミン・ロビンズ(Benjamin Robbins)医学博士は、学術誌「American Journal of Managed Care」のインタビューで、企業の評価方法と投資のプロセスに関して、次のように説明している。

「我々にとって望ましいプロセスは、ある分野のある企業について検討を始める前に、その分野についての我々の考え方や方針を構築することに大半の時間を費やすというものだ。(中略)しかし、ベンチャーキャピタルの世界には、動きの速い、競争の激しい案件も数多く出てくる。そうしたものはなるべく避けようとしているが、完全に避けるのは難しい。チャンスに便乗しようとするだけの投資も存在する」

「我々のネットワークのなかには、現在資金調達を行っている企業を紹介してくる人たちもいる。それは、我々がそれまでに深く掘り下げてきたテーマに沿って出てきた案件ではないので、言ってみれば駆け足で検討しなくてはならない。そうした場合我々は、チームに会った後、通常であれば、じっくり時間をかけてテーマを構築するなかでやっていきたいと考えるようなことを、急いでやらざるを得なくなる。その企業が考えていることを検証し、チームの構成メンバー、ビジネスモデルについて検証したうえで、それを基に投資を行うわけだ」

GVは今後も、医療・ヘルスケア分野で顕著な成果を間違いなく上げ続けるだろう。アルファベットがヘルスケアへの投資を増やしていることが、同分野への関心の表れだとすれば、なおさらその見通しは確実だ。

アルファベットはこの10年間、クラウドプラットフォームやヘルスケアソリューション全般への注力、あるいは、「Care Studio」プラットフォームのようなニッチ分野を通じて、ヘルスケア業界への関与を明らかに加速させている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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