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2022.08.31

アマゾンはEAを買収しないが、その噂が立つ理由はある

Getty Images

今週、スウェーデンのメディアグループGLHFが文字どおり、その日のうちにAmazon(アマゾン)がEAを買収しようとしているという記事をUSA Todayに掲載した。しかし、市場が始まろうとする頃、CNBCは買収は実現しないという独自のソースを引用し、この噂を笑い飛ばすような番組を放送した

買収報道は実現しなかった。アマゾンはEAを買収せず、USA Todayはニュースの取り消しを余儀なくされ、元の記事も編集で台なしにされた。

しかし、この話には真実の側面もある。EAは売却を希望しており、アマゾンをはじめとする巨大企業は買収を希望している。Meta(メタ)、Apple(アップル)、Disney(ディズニー)そしてもちろんSony(ソニー)やMicrosoft(マイクロソフト)も、この巨額の買収とゲーム業界の統合の時代に、新しいパブリッシャー探しに常に躍起になっている。

アマゾンのEA買収は、おそらく考えられる組み合わせの中で最も理に適っている。メタ、アップル、ディズニーとは異なり、アマゾンはここ数年、Twitch(ツイッチ)の買収や自社のファーストパーティスタジオでの活動により、ゲームに対して明確な関心を示してきた。問題は、それらがほとんど意味のある結果を生んでいないことだ。MMOとして苦戦している『New World』や、韓国のMMOARPGの移植に成功したものの、現在ボットの蔓延という問題に直面している『LOST ARK』などの話もある。

アマゾンがEAを買収すれば、その日から成功した大量のIPにアクセスでき、規制当局の承認待ちの状態にあるマイクロソフトによるActivision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)の700億ドル(約9兆7000万円)での買収後に残る最大の独立系パブリッシャーを買収して、この分野におけるプレイヤーとなることができる。マイクロソフトがEAを買収することは、より深刻な反トラスト法上の警告を受けることになるため実現しないだろう。一方、ソニーは、自社の時価総額1000億ドル(約13兆8000万円)の3分の1に相当する企業を買収する用意はないだろう。
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翻訳=上西 雄太

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