150点の作品は、今年11月に開催されるクリスティーズの競売に出品予定で、正確な日程はまだ明らかにされていない。このコレクションの評価額は10億ドル以上とされている。
「Visionary:ポール・G・アレン・コレクション」と名付けられたこの広大なコレクションには、ポール・セザンヌやジャスパー・ジョーンズなどの美術界で最も影響力のある作家の作品が含まれており、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、ボッティチェリやルノワールの作品も競売にかけられるという。クリスティーズによると、収益は慈善事業に寄付される。
「今回の売却は 美術市場と美術界にとって非常に大きな出来事だ」と、クリスティーズの責任者のギヨーム・セルッティはNYTの取材に述べている。
アレンは1975年にビル・ゲイツとともにマイクロソフトを設立し、2000年まで役員を務めたものの、リンパ球のがんである悪性リンパ腫のホジキン病と診断されたため1980年代前半に退社した。2000年にはシアトルに、近未来的な外観の建物が目印のポップカルチャー博物館を設立するなど、音楽と芸術への愛を表現した。
アメリカ屈指の慈善活動家である彼は、その後も資産の約10%にあたる25億ドルを教育や科学研究などに寄付し、NFLのシアトル・シーホークスなどのスポーツチームを買収するなど、スポーツにも愛情を注いだ。アレンは2018年10月、非ホジキンリンパ腫の合併症により65歳で死去した。フォーブスは、彼が死去した時点での保有資産を203億ドル(約2.8兆円)と試算している。
UBSとアートバーゼルが5月に発表したレポートによると、昨年はアートの売上高が約30%増の650億ドルとなり、アート市場のパンデミックからの回復を見せつけた。
これまでのアートコレクションの最高落札額は、離婚した不動産分野の富豪ハリー・マックローとその元妻の収蔵品とされており、今年5月に終了したサザビーズのオークションで9億2220万ドルで落札されていた。