ビジネス

2022.08.31 10:00

オフィス家具をリユース? 三菱地所の新事業「エコファニ」とは

約600坪あるリユースオフィス家具の倉庫兼ショールーム「有楽町Base」


入社して8年が経過した頃、社内の新規事業提案制度に、オフィスから廃棄される家具・什器類を引き取って再販することを事業化したいと提案しました。
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「エコファニ」と名付けた本事業を2021年から試験的に開始し、三菱地所が所有するオフィス物件とリユース家具とをセットで提案するサービスを始めたところ予想以上にニーズが多く、12月から本格的に新事業として開始することになりました。試験運用期間中にも売上を計上でき、需要の多さを定量的にも示すことが出来たことで、事業に対する社内の承認を得ることにつながり、本格始動に至りました。


東京を代表するオフィス街の大丸有地区にどれだけのオフィス家具が流入し、流出しているかは誰も分からない phoho by Shutterstock

──コロナ禍におけるオフィス需要の変化も背景にあったのか?

コロナ禍においてオフィス需要自体が減ってきているという見方もありますが、現場の目線としては、やはり街の開発が進む限り、オフィス移転等は存続し続け、また、ビルの入居契約を更新する際にオフィスのリニューアルなどで家具を入れ替える企業もかなり多くいらっしゃいます。
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結果、本事業の顧客となるようなビルのテナント企業は常に一定数存在し、東京駅周辺の顧客数自体は大きく変化していないと認識しています。今年5月には倉庫兼ショールームを有楽町ビルに移転し、そこでは約600坪の空間に2000~3000点の在庫を保管しています。

──企業内の新規事業として立ち上げた際の苦労は?

ありがたくも順調に進んではいるのですが、やはり新しい事業を始めるとなるとその必然性を感じない方もいるので、そうした方々にどのように理解してもらうかも大事となります。その際に、数字は裏切らないなと感じています。フィジビリティ期間中にしっかりと収益を上げられることを定量的に示すことができたことで、応援してくださる方がすごく増えたという印象があります。


人気オフィス家具メーカーの製品も数多く並ぶ

事業と社会的価値の両立を目指して


──オフィス家具の廃棄問題がこれまで手つかずにされていた背景は?

ビルのオーナーは、テナントから出る廃棄物に対して法律上管理責任を負っていないこともあると思いますし、本業からあがる収益と比較すると、このような事業で大きな利益を見込めない可能性が高いこともビジネスとして手を出しにくい理由です。

それでも今回私たちがこの事業にチャレンジするのは、社会的責任も重視しているからです。とはいえ、エコファニとしては、より多くの収益を出していくために収益の多角化も検討していく必要があると考えています。


環境配慮型原料で傷がついた机の表面をコーティングし、アップサイクルする提案も行う
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文=和田麻美子

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