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2022.08.31 10:00

オフィス家具をリユース? 三菱地所の新事業「エコファニ」とは

田中友梨
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大丸有エリアでオフィス家具を循環させる


──エコファニとはどのような事業でしょうか?

東京駅周辺、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアに所有・管理物件を多く持つ弊社の特性を活かし、そのエリアのオフィスから出た家具のうち、検品で利用可能と判断したものを清掃してリユース家具として取り揃え、手ごろな価格で販売しています。

商品は、棚、テーブル、デスク、椅子、ベンチ、ホワイトボードなどオフィスで使用される什器類を広くカバーし、オカムラ、コクヨ、イトーキ、内田洋行を始めとした国内外のブランドを扱っています。

また、販売以外にレンタルも行っており、いずれも家具単品だけでなく、オフィスに家具をレイアウトしたセットアップオフィスの提案も行っています。セットアップオフィスの提案時は、エコファニでストックしているカーペットの新古品等、家具を含めた周辺の利用環境を提案に含めることも可能です。

──主な顧客企業は?

東京駅周辺のオフィステナントのみならず、ベンチャー企業がレンタルオフィスから自社オフィスへ移ったり、地方企業が東京駅周辺に初出店されたりする際などに利用されるケースも多いです。自社オフィス用だけでなく、シェアオフィス等を運営される事業者様が購入されたこともありました。また、大丸有エリアではイベントが開催される機会も多いのですが、そのような際には短期間での貸し出しも行っており、主に往復2キロ圏内の近場のお客様にご利用頂いています。


東京・有楽町にあるエコファニの倉庫兼ショールーム「有楽町Base」

オフィス家具の廃棄は「見えざる」ゴミ問題


──事業立ち上げまでの経緯は?

私は2013年に新卒で三菱地所に入社しました。オフィスビルの運営管理、テナント誘致などの業務を行うなかで、テナントがビルを退去する際にオフィス家具が大量に処分される現状を知り、その課題を解決する必要性を考えるようになりました。

オフィスは、基本的に床・壁・天井に装飾などを施さない状態でテナントに貸し出し、退去時にその状態に戻すことになっていますが、賃貸期間中にどのような家具を使用するかはテナント側の自由です。そして、テナント企業から排出される使用済み什器類については、ビルオーナーの管理対象外であるためモニタリングが難しく、量や内容などを把握する責任もありません。そのため、他の廃棄物とは異なり、大丸有地区でどの程度オフィス家具の廃棄が出ているのかは誰も分からない、というのが現状なのです。
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文=和田麻美子

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