2022年初めの頃は、秋の新学期に対しもっと前向きな見通しがあったものの、時間がたつにつれてそれが変化した。その理由としては、食品から衣服、交通機関、学校の書籍までほぼ全ての分野で価格が高騰し、不況に対する恐怖が高まっていることがある。
会計事務所デロイトの2022年新学期に関する調査によると、学校関連の出費は約344億ドル(約4兆7000億円)に到達すると予想されている。これは、新型コロナウイルス感染症が流行する直前の年である2019年より24%高い。
インフレは今年、新学期に向けたショッピングのあらゆる側面に影響を与えている。そして、大半の小売企業の戦略は、学用品や服に対する消費者の投資力を左右しているようだ。
次のようなデータがある。
1. 米国で高校生以下の子どもを持つ親は今年、新学期に向け1人につき約661ドル(約9万円)を出費する。これは昨年の612ドル(約8万4000円)から8%増加している。
2. デロイトの報告書によると、消費者の33%は世帯収入が昨年から悪化したと報告している。
3. パーソナルファイナンスに関するサイト「ナードウォレット(NerdWallet)」の調査によると、散財を計画している親は50%で昨年の93%から減っている。
4. デロイトによると、消費者の77%は価格が高過ぎたり商品が在庫切れになったりしていた場合はブランドを変更する。
5. 消費者はより手頃な商品を探していて、より早い時期から新学期の買い物を始めている。米国では、高校生以下の子どもに対する出費の53%は7月末までに既に完了したことが見込まれている。
6. 一方、電子機器の価格は下がっている。調査会社フォレスター・リサーチ(Forrester Research )のスチャリタ・コダリは「これはデフレが生じている数少ないカテゴリーの一つだ」と述べている。
7. ソフトウエア企業アプトス(Aptos)の小売市場分析部長デーブ・ブルーノによると、インフレは新学期の買い物のほぼ全ての側面に影響を与えている。