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2022.08.25 18:30

AI開発に革命を起こすプラットフォームHugging Faceを生んだ起業家

Getty Images

今から5年前にリリースされたアプリの「ハギングフェイス(Hugging Face)」は、一部のティーンエイジャーの間で人気を博したが、ほとんどお金にはならなかったという。しかし、2018年に創設者たちが、コードの断片をオンラインで無料公開すると、グーグルやマイクロソフトなどの研究者たちが、人工知能(AI)アプリの開発にそのリソースを使うようになった。

ハギング・フェイスのアプリは、もはやアップストアには存在しないが、同社のプラットフォームは機械学習モデルの中心的存在となり、1万以上の組織がAI搭載ツールの作成に用いている。

フォーブスが、AI分野の優れた企業50社を選出する「AI 50」リストの2022年版に初登場したハギング・フェイスは5月19日、評価額20億ドルで1億ドルの資金調達を行ったことを明らかにした。ブルックリンを拠点とする同社のシリーズCラウンドは、Lux Capitalが主導し、Coatueやセコイア・キャピタルらが参加した。

「機械学習は、ソフトウェアに代わる新たなテクノロジーの構築手段になりつつある」と、ハギング・フェイスの共同創業者でCEOのクレマン・ドランジュ(Clément Delangue)は言う。「旧来のテクノロジーは、100万行のコードを書くことで生み出されてきたが、機械学習は、それをより良く、より速く実現可能にする」

現在33歳のドランジュは、ハギング・フェイスを今後、ソフトウェア分野におけるGitHubのようなポジションに引き上げたいと述べているが、これはかなり野心的な目標に思える。7000万人以上の開発者が利用するGitHubの収益は、2018年にマイクロソフトに75億ドルで売却された時点で3億ドルだったが、ハギング・フェイスの昨年の収益は、3人の関係者によると、1000万ドル(約13億7000万円)以下だった。

ドランジュは、収益についてコメントを控えているが、彼と投資家は、機械学習はすでに2020年代で最も重要なテクノロジーになりつつあり、ハギング・フェイスがいずれ数十億ドルの収益を上げることになると考えている。

フランス北部の6000人の小さな町、ラ・バッセで育ったドランジュは、12歳で初めてコンピュータを手にし、中国から輸入したダートバイクなどを父親の経営する園芸用品店で販売し、17歳でイーベイ(eBay)のトップマーチャントになった。その後、パリのESCPビジネススクールに進んだ彼は、在学中に画像認識ソフトのスタートアップMoodstocksを設立し、数年後にグーグルに売却した。

2012年にESCPを卒業したドランジュは、グーグルからの仕事のオファーを断り、起業家仲間でコラボ型の電子ブックリーダーを作っていたジュリアン・ショーモンと共に会社を立ち上げた。2人のスタートアップは結局頓挫したが、2016年になってショーモンの大学時代の友人のトーマス・ウルフが3人目の共同創業者に加わって、ビジネスアイデアをチャットボットに変更した。

ウルフは、大学で機械学習の論文を書いた経験を持ち、「オープンドメイン会話型のAI」──つまり、どんな種類の会話でも理解できるチャットボットを作ろうと3人は思い立った。
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編集=上田裕資

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