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2022.08.19 08:30

ハワイ生活は楽ではない 重くのしかかるパラダイス・タックスとは

Getty Images


しかし、新型コロナの感染が広がるアメリカ本土からハワイへ移住する人が増えたことや、住宅ローンの金利が史上最低まで低下したことが追い風となり、すぐにハワイの不動産需要が急伸。供給不足と重なってハワイの不動産価格はどんどん上昇し、2021年8月のホノルルの一戸建て中間価格は前年同月比25.1%増の105万ドルと、初めて100万ドル(約1億3000万円)を突破した。2022年7月の最新データでも、中間価格は110万ドルと高額の状態が続いている。
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当然、ハワイの住民のほとんどは、このような高額の家を購入できない。一戸建てをあきらめたとしても、日本のマンションのような集合住宅にあたるコンドミニアムでも、中間価格は50万ドル(約6600万円)と安くはない。

ハワイ州政府は、購入対象者に所得制限を設けて市場価格より安く購入できる「アフォーダブル・ハウジング」を提供するなど対策を行っている。しかし、世界中の富裕層がハワイの不動産を買い続ける限り、それによって不動産価格が上昇していく傾向は止まりそうにない。

追い打ちをかける記録的なインフレ


ハワイの生活費の高さに追い打ちをかけているのが、アメリカのインフレだ。米労働省が発表した消費者物価指数(CPI)は、6月が前年同月から9.1%も上昇、7月は8.5%となった。実に40年半ぶりの高水準だ。日本でも物価上昇が続いているが、日本の消費者物価指数は6月が2.4%だから、アメリカのインフレ率は日本よりずっと高いとわかる。
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2021年1月から2022年6月までの全米平均の物価上昇率は13.3%。平均的な家庭では、1カ月の負担が718ドル(約9万5000円)も増えているという。

このような高いインフレを受けて、ハワイ州政府は5月、州の最低賃金を引上げる法案を可決。現在の10ドル10セントから、2022年10月には12ドルに引き上げ、その後も隔年で段階的に引上げ、2028年には18ドルとする。

この最低賃金で比較すると、最も高い州はニューヨーク州の15ドル(ニューヨークシティなど一部地域)、カリフォルニア州の15ドル(従業員が26名以上の企業)。現状ハワイ州は上位10位にも入っておらず、生活費の高さと給料水準が見合っていない。パラダイスと呼ばれるこの島で暮らしていくためには、大きな負担を負わなければならないといえる。

ハワイ州の2021年の人口は145万人。前年から0.7%の減少となった。アメリカ本土からハワイに移住した人もいるが、逆にハワイから本土に移った人も多いものとみられる。賃金の引上げや税負担の軽減など、州政府によるバックアップがなければ、ますますハワイは住みづらい場所になっていくことも考えられる。

文=佐藤まきこ

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