この問題の原因は、メッセージングサービスを支える技術にある。アップルは、SMS(Short Message Service)とMMS(Multimedia Message Service)という、90年代と00年代初頭にリリースされた、頑強だが老朽化した2つのプロトコルを使用している。グーグルは、Androidスマホのテキストを最新化するために、2019年に採用した新しいプロトコルのRCS(Rich Communication Services)を、アップルに採用するよう働きかけている。iPhoneとAndroidの両方をRCSに対応させることは、2つのOS間のメッセージがエンド・ツー・エンドで暗号化されることも意味している。このことは現在セキュリティ上の重大な課題となっている。
グーグルは、その地位とブランド認知度にもかかわらず、自社のプラットフォーム向けに成功したメッセージングアプリを構築するのに長い間苦心してきた。同社はこれまで、HangoutsやAlloなど、いくつかのテキストサービスをリリースしては消費者の支持を得られず終了させてきた。
アップルにとって、緑の吹き出し戦略はデザインによるものだ。アップルのソフトウェアエンジニアリング担当SVPのクレイグ・フェデリギは「大部分の携帯電話ユーザーとっての主要なメッセージサービスになる戦略は(アップルには)ないので、Android版iMessageの提供をしても、iPhoneを使う家族が子どもにAndroidスマホ電話を与える障害を取り除くだけではないかと懸念しています」と2013年にメールで述べている。このメールは、アップルと人気ビデオゲーム「Fortnite(フォートナイト)」のメーカーであるEpic Gamesとの独占禁止法上の争いの一環として、昨年公開されたものだ。
また別のメールでは、アップルの元幹部がもっと露骨に「事実上iMessageは重要な囲い込みの役割を果たしている」と語っている。