折りたたみ式端末は、まだ市場に出て間もないため、いくつかの欠点を克服する必要がある。例えば、折りたたみの挙動は必ずしもスムーズではないし、これらの端末は従来のスマホよりも高価になる傾向があり、誰にとっても最適な選択肢とはならないかもしれない。
筆者は、2017年のディスプレイカンファレンスで最初の折りたたみ式端末を目にし、この技術的なブレークスルーにとても興奮した。そして2019年にサムスンが初の折りたたみ式スマホを発表し、彼らはこのタイプのスマホを最も積極的に推し進める企業となった。
サムスンモバイルのプレジデントのTM Rohは、折りたたみ式端末におけるサムスンの役割について、次のように書いている。
「私たちは、新しい形をデザインするだけでなく、これまでのスマートフォンでは不可能だった新たなエクスペリエンスを創出しようとした。そして、多くの技術的ハードルを乗り越え、2019年に史上初のGalaxyの折りたたみ式端末を発表した。昨年は、全世界で約1000万台の折りたたみ式スマートフォンが出荷されたが、これは2020年から300%以上の増加を意味している。この速いペースでの成長は今後も続くと予測される」
しかし、年間1000万台という折りたたみ式端末の出荷台数は、スマホ業界全体から見ればわずかなものだ。IDCによると、2021年の世界のスマートフォンの出荷台数は13億8000万台だった。
今後もサムスンやモトローラ、LGなどが折りたたみ式端末を積極的に推進する予定だが、筆者は、この分野の需要をより大きく牽引できるのはアップルだと考えている。
アップルへの期待
2018年に筆者は、フレキシブルディスプレイ企業の幹部たちに話を聞いた後、アップルが2019年に折りたたみ式端末市場に参入するかもしれないと考えていた。アップルがBOEと関係を持っていることを知っていたし、BOEはすべての顧客に新たな折りたたみ式ディスプレイを採用するよう、働きかけていたからだ。
もちろん、アップルはまだこの市場に参入していないし、私が知る限り、彼らは折りたたみ式のiPhoneを作ることにほとんど興味を示していないようだ。
筆者は個人的にサムスンのGalaxy Z Fold2を使ってみたことがあり、その動作と機能を気に入っている。しかし、このデバイスはメインストリームの市場にはまだ価格が高すぎる。廉価版のGalaxy Z Flipもあるが、この端末もやはり、スマホ市場ではプレミアムな部類に入る価格帯だ。韓国では例外的によく売れているが、世界の市場で本当のヒットになるには程遠い状態だ。
アップルは、新たなデザインやフォームファクターをメインストリームに押し出してきた経緯があるため、折りたたみ式端末が普及するとしたら、アップルがこの市場に参入してからではないかと考えられる。そうでない場合は、この分野の成長は緩やかなものに留まり、さらなる普及のためには、大幅な価格の引き下げが必要になるかもしれない。