Merlin Labsは7月13日、ベイリーギフォードを含む大物投資家が参加したシリーズBラウンドで1億500万ドル(約142億円)を調達したことをアナウンスし、米空軍の主力輸送機C-130J Super Herculesの自動航行化プロジェクトを初めて公にした。同社はまた、昨年秋にニュージーランドの民間航空局から、単発のセスナ・キャラバン貨物機の自動航行化に向けたプロジェクトの承認も受けている。
今回の調達により、Merlin Labsの累計調達額は1億3000万ドルに増加した。今回のシリーズBには、パランティアの幹部ら2名が設立したSnowpoint Venturesが参加したほか、アルファベットのGV(旧グーグル・ベンチャーズ)を含む既存投資家も出資比率を高めている。
Merlin LabsのCEOのマシュー・ジョージによると、同社の初期のプロダクトは、航空機が離陸から着陸までをプログラムされた経路に従って自動運航することを可能にする初の商用飛行制御システムになるという。同社のシステムは、人工知能(AI)が管制官からの指示を理解し、それに従うことができるという。
ただし、同社は現時点では、地上の障害物や空中の他の航空機などを自動的に検知し、回避するセンサーを航空機に搭載していない。このような課題に対処するために、人間のパイロットが搭乗し、AIが管制官の指示を誤って理解した際には、それを修正する任務を担っている。
つまり、Merlin Labsの自動航行システムはまだ、完全な無人システムとは言えないが、現在32歳のジョージは、同社の初期段階のソリューションが、パイロットの負担を大幅に軽減し、安全監視員のような役割を果たすことができると述べている。
「最も難しい課題は、当局の認証を受けることだ」とジョージはフォーブスに語った。Merlin Labsの約70人の従業員のうち、約30人が現在、安全認証に携わっており、ニュージーランドでの認可を求める一方で、米国でも連邦航空局(FAA)の審査に向けた資料を提出している。
ジョージは、ニュージーランドで5年以内に、収益性のある貨物輸送サービスを開始しようとしている。
2017年設立のMerlin Labsは、米国で昨年、Dynamic Aviationが運用する55機の双発キングエアを自動化する契約を締結し、山火事の監視や海上任務にあたる同社のパイロットを支援しようとしている。
同社はまた、UPSやフェデックス、DHLの小型貨物機を運航する航空会社のAmeriflightとも提携を結んだ。Ameriflightは長年、大手旅客航空会社でより高収入の仕事に就くことを望むパイロットたちをつなぎとめることに苦心している。さらに、ベビーブーマー世代のパイロットが退職の時期を迎えることが、人材不足に拍車をかけている。